【主張】「解釈通達」変更に対処を

2015.04.27 【社説】

 厚生労働省は、昨年10月23日の最高裁判決に沿って、男女雇用機会均等法の「解釈通達」(施行通達平18・10・11雇児発第1011002号)を変更した。企業としては、この通達変更の趣旨をよく理解し適切な手続きをもって事案に対処すべきである。

 同判決は、妊娠中の女性労働者(理学療法士)の軽易業務への転換を契機として、事業主が管理職である「副主任」の役職を解いたもので、結局、婚姻・妊娠・出産などを理由とする不利益取扱い禁止を規定した同法第9条第3項に該当し違法と断じた。

 しかし、一定の条件が整えば、同法違反の不利益取扱いに含まれない例外を新たに示したため、厚労省がその考え方を抽出して同通達に反映させたものだ。同通達に、新たに規定を挿入し、業務上の必要性を有し、しかも不利益取扱いの程度が軽易な場合、あるいは労働者側が不利益取扱いに同意していた場合などは、同法違反とならないとしたのである。妊娠・出産などを理由(因果関係のある)とする不利益取扱い禁止を解釈に加えたことになる。

 同最高裁判決に対し、本紙講座欄の「職場に役立つ最新労働判例」(14面掲載)で解説を担当している岩本充史弁護士は、「例外的に同意または特段の事情があれば降格等を有効とするとの解釈を明らかにしたものだが、この解釈は実質的には…最高裁による新たな立法と評価できよう」(本紙平成27年1月19日号14面)と重視している。

 岩本弁護士は続けて、使用者に対し具体的なアドバイスも行った。使用者としては、妊娠・出産を契機とした降格などを実行する場合、業務上の必要性・程度、有利・不利な影響の内容や程度を具体的に説明できるように準備し、その説明を行ったことについて記録しておくことが必要という。

 近年、妊娠・出産または育児休業取得による不利益取扱いに関する紛争の増加がめだっているため、法規制を強化すべきであるとする見方も出ているほど社会問題化している。通達変更を念頭に、不要な紛争に発展しないよう上手く対応したい。

掲載 : 労働新聞 平成27年4月27日第3014号2面

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