【主張】4カ月で能力・人格が磨けるか

2013.04.22 【社説】
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 大学生の就職活動時期は、採用側の経団連と国公立大学等で構成する就職問題懇談会の申し合わせによって決められている。というか正常な学習環境の確保を訴える大学側の要請に企業側が自粛姿勢を打ち出し、「在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、採用選考活動に当たっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する」と謳った倫理憲章をもとに活動時期が決められている。

 企業と大学は、採用開始時期などを定めた「就職協定」を結んでいたが、青田買いという抜け駆けが横行し、97年に廃止されるという経緯があった。経団連は、11年に倫理憲章を改定し、現行の広報活動を3年生の12月、面接や選考を4年生の4月から開始と大学の要望に応えたスケジュールを決定した。いちおうの落ち着きをみせた観があったものの、今度は、教育改革を重視する安倍政権から横槍が入り、現政権と経済界の蜜月関係からみて、短命の「倫理憲章」に終わりそうだ。

 政府が要望する大筋は、就職活動の開始時期を4カ月遅らせ、4年生の4月から、というもの。文科省・厚労省などの関係省庁と協議して決定し経団連に申込みを行う。

 大学進学率が56%、4年制大学が700校という実態から想像するに、わずか4カ月の学習期間延長で「能力と人格が磨かれ、社会に貢献できる人材」の輩出にどれだけ効果があるか疑問。出口規制を強め、中学で習う分数のできない者は、社会に出さない教育風土を普遍的に構築する方向性を望みたい。就職先人気企業ランキングなど無用な雑音だ。現実的に倫理憲章は、外資系企業には適用されないし、4月から秋にかけて実施される国家公務員試験を民間並みに合わせるのが先決だろう。1929年の世界大不況時代には「大学は出たけれど」という流行語があったというが、現在は能力と人格を欠く故にこの状態に置かれている卒業生が増える一方である。弥縫策を論じるより「学士様」と尊重されるような教育改革を早急に手掛けるべきだ。

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平成25年4月22日第2918号2面 掲載

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