【主張】初心に帰ってこその労使協議制

2013.04.01 【社説】

 昔陸軍今総評――とまでいわれたストライキを中心に要求の貫徹をめざす階級闘争至上主義は、89年に結成された「連合」の登場によってほぼ完全に姿を消した。ストに代わって賃上げ交渉としてスケジュール化されたが、一方で労使協議制が定着し、問題が発生するたびに協議の場がもたれ、労使が解決策を探るという努力が積み重ねられた。

 02年の厚生労働省「労使関係総合調査」によると、従業員5000人以上では、98.3%が労使協議機関を持ち、30~99人の中小企業でさえ、72.6%にも達している。

 「労使当事者の意識としては、団体交渉は憲法第28条と労働組合法に裏付けられた法律上の手続きである。それは、労使の対立を前提とした手続きで、団交義務やスト権があり、また交渉事項が限定されている。これに対し、労使協議制は、あくまでも当事者間の合意・取決めに基づく任意の制度であり、またストなどの労使対決を予定しない平和的手続きである。今日の企業別労組による労使関係では、労使間の問題や課題を協議し解決する主要な場は、団交ではなく労使協議となっているといっても大過ない」(菅野和夫「新雇用社会の法」)。

 最近、その労使協議制が形骸化され、今年春闘で上げたかっかくたる戦果も、労使交渉より、アベノミクスという声がまことしやかに聞こえてくる。経営側はかつてステークホルダーとまで持ち上げた労働者を軽視しているようにみえるがいかがか。かつての階級闘争至上主義の再来はなかろうが、労働側に経営者不信が芽生えるのを恐れる。協議制は「情報の伝達・共有・意見の交換」という基礎条件が廃れると機能しないのはいうまでもない。かつてはリストラでさえ、労使協議の中で解決策を見いだしてきた。

 「企業競争の枠組みが変わっていく変革の時代には、変化を余儀なくされる雇用人事管理制度や労働条件制度について、労使が真摯に協議を行うことは、経営目標に向けた企業組織の統合のためにも、労働者の福祉のためにも、極めて重要である。労使協議は、今後もその意義を失うことはないといえよう」(同)。

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掲載 : 労働新聞 平成25年4月1日第2915号2面

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