人を大切にする経営/橋口剛和社会保険労務士事務所 橋口 剛和

2017.07.09 【社労士プラザ】

 来年は、社会保険労務士制度創設50周年の年である。昭和43年12月2日、先輩方の多大な労苦の上に現在の社労士法は施行された。本稿では、その歴史に思いを馳せつつ社労士の役割について記したい。

 宮崎県社労士会は、今年1月に延岡市・都城市・宮崎市の3地区において中小企業を支援するセミナーを開催した。テーマは「人を大切にする経営をめざして」である。このテーマの実現に向けて奮闘されている中小企業家の実践例と、それらをサポートしている社労士の話を組み合わせた内容で、どの会場でも好評を得た。この種のセミナーには5年前から取り組んでいるが、最初に講演してもらった法政大学大学院の坂本光司先生によると、大切にすべき「人」は5人いるとのこと。一番は社員とその家族、次いで取引先とその家族、顧客、地域住民、最後に株主であるという。確かに会社経営の使命と責任を突き詰めるなら、そこまで広く捉えることが必要なのだろう。

 考えてみると我われ社労士は、第一の「社員」を大切にする経営の実現をめざす仕事といえる。業種や規模を問わずどんな企業においても、働いてもらう社員のがんばりなしには、発展は望めない。売上げにしろ利益にしろ、彼らが怪我もなく意欲的かつ効率的に働いてこそ伸びるのではないか。トップのリーダーシップの確かさは当然必要だが、それ以上に働く社員の力の発揮いかんが、会社の命運を左右するのである。中小企業を取り巻く様ざまな競争が激しさを増す時代にあっては、「社員を大切にした方が良い」というのではなく「社員を大切にすることなしには会社の発展はない」と知るべきであろう。

 それでは、「社員を大切にする経営」をめざすには何が必要なのか。

 一言でいえば、安全・安心を土台にして、社員のやる気を引き出すための労働環境の整備改善であり、彼らの能力発揮を促す育成制度や教育訓練の充実であろう。しかしながらその到達点は、まさにそれぞれである。年休が満足に取れない、残業が多すぎる、仕事に見合った給与になっていない、人が育つ仕組みがない、コミュニケーションに問題あり等々。

 だからこそ、社労士の出番なのである。私は、社労士法第1条(目的)にある「事業の健全な発達」と「労働者等の福祉の向上」をともに達成していく方向こそが「人を大切にする経営」なのだと思う。法令遵守への指導助言とともに、このことの実現に向けた能力発揮こそが求められている。

橋口剛和社会保険労務士事務所 橋口 剛和【宮崎】

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掲載 : 労働新聞 平成29年7月3日第3119号10面

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