【主張】監督業務開放早く実行を

2017.06.05 【社説】

 政府の規制改革推進会議タスクフォースが、労働基準監督業務の一部を民間開放すべきであるとする提言をまとめた(5月29日号1面既報)。是正勧告や司法処分などのコア業務を除いた任意調査、任意指導にかかわる業務を社会保険労務士などに業務委託するというのが提言の骨子となっている。労働基準監督官の大幅増員が不可能である以上、厚生労働省としてはこれを受け入れざるを得ない。

 真に実効性ある働き方改革を達成するためには、監督業務の拡大、充実が前提とならなければならない。良い法律を作り、素晴らしい法改正をしたとしても、それを守らせる実働組織が整っていなければ画餅に等しい。率先して法令遵守に当たる企業が、競争上不利になればモラルハザードにつながる。

 現実を直視すると、事業場数に比較してあまりにも監督頻度が少な過ぎる。製造業や建設業など受入れ態勢が整っている業種では、1割程度の事業場に定期監督を実施しているものの、小売り、飲食などの商業では1%程度に留まっているという。過労自殺が問題化している金融・広告業の監督率も4%だった。

 つまり、法令違反が頻発し労働者保護が最も必要な小零細事業場または大手でも厳しい労働実態にある業種には、かえって労基署の手が届いていない。従来までは、製造業と建設業を重点的に監督していれば良かったかもしれないが、サービス経済化が進展しつつある状況において、考え方を転換する必要がある。

 民間開放に向けた提言では、監督のコア業務は監督官が引き続き実施するが、自主点検票の発送や回収とりまとめ、それに続く事業場へのアドバイスなど任意業務を社労士などに委託するとしている。労基署では、管内事業場を集めた講習会などの際に労働条件などを確認する自主点検票を配布し、その回答結果を契機とした監督指導を日常的に行っている。民間委託が可能ならかなりの業務効率化が期待できよう。

 この程度の民間開放なら実行に移せるはずだ。さらに効果的な方策を引き続き検討していくべきである。

掲載 : 労働新聞 平成29年6月5日第3115号2面

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