幸せな職業選択を支援/大河社会保険労務士事務所 代表 大河 健二

2022.03.27 【社労士プラザ】
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大河社会保険労務士事務所 代表 大河 健二 氏

 「労働者派遣」と聞くと、どのような印象をお持ちになるだろうか。たとえば、あなたのお子様が就職活動期であったとする。活動状況を確認すると、「勤務先は大手企業に決まった。『派遣』だけど職務内容は希望どおりだよ」との返答だった。あなたはどう感じるだろうか。

 過去の報道などの影響もあり、「派遣は不安定な就業形態」と感じて喜べないかもしれない。それは派遣労働の「一面」であることに異論はない。しかし、労働者派遣法は大きく変わっており、派遣労働の現在の実情とは違う気がする。

 私は約20年にわたって派遣会社で勤務した後、労働局需給調整部門での3年間の勤務を経て、現在は人材ビジネス会社の支援に特化した社労士事務所を開業している。派遣会社に在籍した時期には、リーマン・ショックを経験した。当時、世間では「派遣切り」や「派遣村」という言葉が横行し、派遣労働そのものが問題視された。その背景には、派遣先による契約の期途中解除があった。

 一方、今回のコロナ禍ではどうだろうか。私の顧問先の派遣労働者数を合わせると1万人以上となるが、契約途中解除は全く発生していない。労働行政が途中解除をしないように周知徹底を図り続けてきたことや、雇用調整助成金制度の改定など迅速な対応を実施したこと、派遣会社が派遣労働者の雇用維持を前提に積極的に対応したことによる影響が大きい。

 さらに、休業する間の派遣料金を通常どおり請求することを派遣先が許容し、派遣労働者保護に積極的に動いたケースもあった。これらの結果、実態として契約の途中終了が発生していない。そのため、「派遣は不安定な就業形態」とは必ずしもいえないと感じる。

 冒頭の話に戻るが、お子様の回答がこうだったらどうだろうか。「勤務先は大手企業に決まった。『派遣』だけど、毎年4月に評価Aの派遣労働者は全員本採用されるよ」とのこと。これであればあなたは素直に喜べるかもしれない。違いは「派遣労働を通じた次のキャリアの選択肢」があることだけである。

 もちろん、派遣先に直接雇用されるだけが幸せな職業選択ではなく、人それぞれに働く意義や目的が異なる。それを踏まえた「人を大切にする仕組みづくり」をする企業は人が集まり、事業を拡大できるのではないか。この仕組みづくりは社労士が得意とする分野である。仕組みづくりをとおして、人材ビジネス会社の発展と派遣労働者の幸せな職業選択に向けた支援ができるように尽力したい。

大河社会保険労務士事務所 代表 大河 健二【岡山】

【webサイトはこちら】
http://sr-ookawa.sun.bindcloud.jp

令和4年3月28日第3346号10面 掲載

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