行動経済学で意欲向上/FP・社労士事務所ライトファーデン 代表 及川 雅史

2017.04.30 【社労士プラザ】

 社労士として働いていると、経営者・役員の方など、様ざまな「ヒト」と出会う機会がある。知識、経験、苦労話など、色いろな話を聞くことができ本当に勉強になっている。その話の中で、「従業員のモチベーションを上げるにはどうすればいいか分からない」といった悩みに接する機会が少なくない。

 「ヒト」というのは、本当に難しい生き物である。

 モチベーションを高めることは非常に難しいが、ヒントとなるものがある。「行動経済学」だ。

 行動経済学の第一人者といわれる、アメリカのデューク大学のダン・アリエリー教授が行った「仕事のやりがい」に関する実験結果は非常に興味深いものがある。実験は次のようなものだ。

 被験者へランダムに文字が並んだ紙を1枚渡し、同じ文字が並んでいるものを探してもらう。完了後、実験者は書類を受け取り、報酬を渡す。

 1枚目を完了後、2枚目を前より少ない報酬でも仕事を受けるか尋ねる。3枚目以降もこれを繰り返し(枚数が増えれば、どんどん報酬額が下がる)、仕事を拒否した時点の1枚当たり報酬額を調査する。上記の手順は次の3つの状況下で行う。

 ①仕事結果を認知される状況下 書類に記名し、実験者に成果をチェックされる。

 ②無視の状況下 書類に記名をせず、実験者に成果をチェックされない(ただ書類を受け取って、横に置くだけ)。

 ③シュレッダーの状況下 書類提出後、すぐに書類をシュレッダーにかけられる。

 さて、どの状況下が一番少ない報酬額まで仕事を継続しただろうか?

 結果は、①の状況下が一番少ない額まで仕事を継続し、およそ15セントに減額するまで働いた。②の状況下はおよそ25セント、③の状況下ではおよそ30セントであった。ズルをすることもできる②と③の状況下より、成果を認知される①の場合の方が仕事を継続するモチベーションを高く持てたのだ。

 ここから分かるのは、人の成果を無視する行為は、成果を目の前で粉々にされるのと同じ効果を生んでしまう一方、成果を認知するだけでも(大きな称賛がなくても)、モチベーションを高めることができるということである。

 ほかにも、興味深い研究結果があるので、ヒトのモチベーションを高めることでお悩みの方は、一度行動経済学に関する書籍などをみることをオススメする。

FP・社労士事務所ライトファーデン 代表 及川 雅史【岩手】

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http://www.leitfaden.jp/

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掲載 : 労働新聞 平成29年4月24日第3110号10面

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