課題の本質見極めが重要/小塚社労士事務所 株式会社オフィスK 代表 小塚 真弥

2017.04.16【社労士プラザ】
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 ここ数年「わが社の賃金制度を抜本的に見直したい」という相談をよく受けるようになった。

 「制度が年功的で、評価によって賃金額にあまり差が付かない」、「このまま定期昇給を続けていくと人件費が相当膨らんでしまう」、「賃金額が世間相場と比べて低く優秀な人材が採用できない」といった悩みを抱えての相談である。

 賃金制度には、社員の側からみた公平感や納得感とともに、自社の支払い能力からみた合理性や世間相場への対応等も求められるため、それぞれのバランスと優先順位を考慮しなければならないところに難しさがあろう。

 このような場合、私はまず、問題点を次の3つのカテゴリーに区分して整理してみることを提案している。


①賃金水準…同業や世間水準と比べた自社の賃金や人件費の水準
②賃金体系…基本給や諸手当、賞与や退職金などの体系
③賃金格差…社内における、年齢や評価、役職や等級等の違いに対する金額的格差

 そして、それぞれの課題を交通整理していくだけでも、自ずと自社の基本的な考え方や見直しの方向性が固まってくるものだ。

 こうやって検討を進めていくと、ほとんどの場合で上記の3要素に該当しない「本当の課題」が浮上する。

 たとえば、「人事評価によって賃金にあまり差が付かない」という課題の本当の原因が、評価基準のあいまいさや管理者の評価スキルが低いといった人事考課制度と評価者自身の問題であるとか、「優秀な人材が採用できない」のは、結局自社における明確な人材像が描けていないことが主因であるといった具合である。

 人事制度の課題が、結果として一番症状の出やすい賃金制度のところに具体的な不具合が現れているのに過ぎず、その根本原因は別の制度や運用方法に隠れているというわけである。

 従って、制度見直しの際には、たとえ現時点で出現している問題が賃金制度の範疇であっても、本当にそれが賃金制度自体の原因であるかどうか、等級制度や人事考課制度、教育研修などの他の制度や運用面も含めた人事システム全体から今一度検証してみることが肝心である。

 我われには、技術的な設計ノウハウもさることながら、目先の課題のみにとらわれない本質をとらえた冷静な見極めが求められているのだと思う。

小塚社労士事務所 株式会社オフィスK 代表 小塚 真弥【大阪】

【公式Webサイトはこちら】
http://www.kozuka.org/

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掲載 : 労働新聞 平成29年4月10日第3108号10面

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