【見逃していませんか?この本】球団ごとの「あるある」を17音に凝縮/カネシゲタカシ『みんなのプロ野球川柳』

2017.03.31 【書評】
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 野球を病的に愛しすぎている人たちがツイッター上に集い、日夜「大喜利」にいそしんでいるのをご存じだろうか。漫画家・カネシゲタカシが主催する『野球大喜利』の勢いはとどまることを知らない。

 近年、その野球大喜利で12球団ごとの「あるある」を募集し、毎年1冊の本にまとめている。今年はその流れに変化が!従来の流れを汲みつつ、新たな勝負のフィールド「川柳」へと進化したのだ。

 お題に対する答えはツイッター上で募集するため、回答文字数は従来の最大100字程度から大幅に減少。17音に収めなればならなくなった。この変化で大幅に採用本数を伸ばした投稿者もいれば、反対に苦戦した人も。12球団分の川柳を募集し終えたところで、常連投稿者から「やっとコツをつかんだ!延長戦を」と、『とんねるずのスポーツ王は俺だ』よろしくの泣き言もあったとかなかったとか。

 そんな野球好きによる、野球好きのための一冊に仕上がった本書だが、内容がディープ過ぎるかというとそうでもない。むしろ、ネタを17音に凝縮せざるを得ないため、一つひとつの川柳が「適度に誰でもすぐに分かる内容」となっている。

 ちなみに、先日開かれた出版記念イベントでは、惜しくも(?)掲載とはならなかった没ネタや、明らかに上手いことを言おうとして迷走する通称「うまいことイップス」を患ってしまった投稿者にツッコミを入れる一幕も。U-STREMのバックナンバーで視聴ができるので、本書を読んだ後に是非ともご覧いただきたい。

 「警官を 胴上げ始める 平和都市」「駿太より ポン太が先に 覚醒し」「どうしよう 金メダリストの ラブコール」など、2016シーズンを的確に切り取った一句で昨シーズンを振り返りつつ、いよいよ今日開幕する2017シーズンに思いを馳せたい。球春到来にうってつけの一冊だ。(M)

かねしげ たかし、講談社・1080円/漫画家。無類の野球好きで、毎日ツイッター上で野球大喜利を開催。365日休まずお題を出し続ける姿勢は、球界の新たな「鉄人」といえよう。今シーズン、スポーツナビからVICTORYへと引っ越して連載が続く「ベイスたん」シリーズも好評。『あるプロ』シリーズ1~5作目も発売中。

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