【主張】中小後回しワクチン接種

2021.07.01 【社説】
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 新型コロナウイルスワクチンの職域接種が進んでいるが、わが国の大多数の労働者を雇用する中小零細企業が取り残されている点に疑問を投げ掛けたい。先日公表された「予防接種の実施に関する職域接種向け手引き」の初版は、明らかに大企業を念頭に置いている(=関連記事:ワクチン職域接種 本人の意思確認を 2回で2000回が基本 厚労省が初版手引)。中小零細企業の集合職域接種向けの手引きも同時に示すべきだった。

 同手引きは、中小零細企業を想定から外しているといわざるを得ない。同一の接種会場で2回接種を完了させることを原則としているが、その回数を2000回程度(1000人程度×2回)とした。労働者数が数人または数十人規模の中小零細企業にとってはとてもクリアできない。

 医師・看護師などに加え、接種会場の設営・運営を担う事務スタッフなどを企業自らが確保する必要もある。接種会場の確保・設営に必要な備品は自ら調達しなければならない。さらに、企業内で準備・実施のための態勢を整えなければならないという。

 態勢整備の一環として、「事務局」の設置が必要である。職域接種を始めるに当たり、医療機関の確保、国への申請、企業内の連絡調整、接種会場・物品の手配、国・自治体・医療機関との調整などを担うのが「事務局」である。

 同手引きには、中小零細企業が念頭にないことは否定できない。大企業の労働者のワクチン接種を優先したのであれば問題である。労働者の大多数を雇用する中小零細企業も大企業の労働者と時期を違えず、格差のないワクチン接種を受けられるようにすることが重要なはずだ。

 中小零細企業の職域接種は、商工会議所などを通じて共同実施するか、下請企業あるいは取引先を対象に含めて実施する方法を採るしかない。接種規模としては、こちらの方が大きいはずであり、具体的な手順や緩和条件を示すべきだった。使用者団体から漏れる中小零細企業への接種にも配慮する必要がある。

 合計2000回程度の接種という条件は緩和の方向で検討されているというが、人命にかかわるワクチン接種だけに公平な取扱いに心掛けるべきだった。

令和3年7月12日第3312号2面 掲載

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