【見逃していませんか?この本】コロナ禍は思い出に一人浸る時間?/壹岐真也『小説 孤独のグルメ 望郷篇』

2020.08.14 【書評】
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 「新しい生活様式」なるものが喧伝されるようになって久しい。

 食事に関しては、「持ち帰りや出前、デリバリーも」、「屋外空間で気持ちよく」、「大皿は避けて、料理は個々に」、「対面ではなく横並びで座ろう」、「料理に集中、おしゃべりは控えめに」、「お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて」とある。

 職場では話せないような仕事の不満をランチミーティングで相談する、上司の悪口を飲み会でぶちまける――サラリーマンにとって当たり前だったそんな風景も、新型コロナウイルスの影響で変わりつつあるように感じる。

 仕事を離れても、当然「新しい生活様式」は付きまとう。飲み会はオンラインにせよとか、帰省は自粛せよとか。たとえば、旅先で気の合う仲間と一献などというのは、しばらくは夢のまた夢のようだ。

 本書は、久住昌之氏原作、谷口ジロー氏作画のマンガ『孤独のグルメ』の世界観を踏まえて執筆された小説だ。テレビ東京で放映されているあのドラマのテイストとも一味違う。

 「望郷編」と銘打っている通り、グルメとかつての思い出とが交錯するのがミソだ。それは、親のことであったり、かつて熱中したプロレスのことであったりする。

 なるほど、コロナ禍においては、一人グルメに舌鼓を打ちながら、思い出に浸る時間とするのも悪くないかもしれない。発想を転換するのにはうってつけの一冊だ。

 とはいえ、頻繁に全国各地へ足を運んでいた小職としては、いい加減どこか遠くへ足を運びたいし、取材先の合間にドラマ版『孤独のグルメ』に出てきた店へ寄る”恒例行事”も再開したいのだが。

 いき しんや、扶桑社・1320円/1960年・東京都生まれ。『月間PANJA』編集部時代に漫画『孤独のグルメ』の連載を立ち上げる。現在はフリーで編集、執筆を手掛ける。

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