【主張】雇用情勢にも不安な動き

2020.03.19 【社説】
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 危惧すべき事態が生じている。求人倍率の急落である。厚生労働省の統計によると、令和2年1月の有効求人倍率は1.49倍で、前月比0.08ポイント低下した。同月の新規求人倍率は2.04倍で、同0.4ポイント低下し、急落といえる。 

 経済成長率の下落や新型コロナウイルスの感染症拡大、株価暴落など、日本経済・社会は多重苦に見舞われている。安倍政権の「最後の砦」であった雇用情勢にまで影響が及び始めた。急きょ大規模な補正予算を成立させ、底上げせざるを得ない。

 厚労省では、求人倍率の急落について、同月から実施したハローワーク人材紹介システムの大幅改編に伴い、求人票の記載項目を拡充させた影響によるものとしている。一部に求人の提出を見送る動きがあり、求人数の減少につながったという。

 しかし、求人票の記載事項の変更だけでこれほどの急落は考え難い。有効求職者数は同1.5%増加し上昇傾向にあり、最近の経済情勢のトレンドを反映しているのは明らかである。逆に、有効求人数は同3.9%低下、新規求人数に至っては同15.5%低下している。

 求人票の記載事項の変更とは、主に「36協定における特別条項の有無」「昇給制度・賞与制度の有無」「正社員登用制度の有無」「受動喫煙対策の有無」を追加で聞いたもの。一方で、人材紹介システムの刷新・高度化により、求人・求職双方の利便性が大きく向上している。求人企業は、「マイページ」が設定できるようになり、ハローワーク窓口を通さずに行える手続きが拡大している。

 政府としては、厳しい経済情勢を直視し、底上げ・下支えに向けた補正予算を組むしか選択肢はない。しかも、中途半端な予算規模では効果は薄い。金融緩和と一体となった一層の財政出動を早急に実行しないと、今後、雇用情勢まで危機的な落ち込みとなる可能性がある。

 同月の完全失業率は2.4%と、同0.2ポイント上昇したものの、まだ落ち着きがみえる。だが、失業率は遅行指数である。ここで底を打ったかもしれない。

令和2年3月23日第3250号2面 掲載

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