【今週の労務書】『「非正規労働」を考える――戦後労働史の視角から――』

2016.10.29 【書評】

“人材選別機能”で合理的

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 「非正規」という言葉をこの国から一掃する――総理の高らかな宣言は記憶に新しいが、そうした綺麗事で現場は動かず、「市場経済を前提とする限り、非正規労働者の存在や双方の併存には合理的な根拠がある」と訴えるのが本書。

 ほぼ似た仕事で正社員並みの働きなのに、不当に安い賃金の非正規労働者が増えているとする通説に対し、希少な現場データや著者お得意の聞き取りを通じ、非正規という「人材選別機能」の合理性を指摘する。仕事への適性が認められ、晴れて正社員となる”見極めの期間”は日本でも古くから存在するとし、そうした機能を省みないのは誤りとみる。

 ゼロにはならない弊害を減らす道しかないとの論考を味わいたい。

(小池和男著、名古屋大学出版会刊、TEL:052-781-5027、3200円+税)

掲載 : 労働新聞 平成28年10月24日第3085号16面

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