【人材ビジネス交差点】「派遣」で雇用と教育を提供/㈱人材ビジネス経営研究所 代表取締役社長 代表経営コンサルタント 山内 栄人

2018.07.15 【人材ビジネス交差点】

㈱人材ビジネス経営研究所 代表取締役社長 代表経営コンサルタント 山内 栄人 氏

 現在、日本では「働き方改革」というワードが日常的に飛び交う状況となっている。これは少子高齢化が加速する日本においては不可避であると思われる。人材ビジネス、雇用、労働といったテーマで研究や経営コンサルティングに従事するものとしては、「ようやく来たか」という印象すらある。

 そんな中、「労働者派遣」の社会的役割は日に日に高まってきていると感じている。たとえば、同一労働同一賃金といった考え方は、日本型正社員の基本系である職能給制度、メンバーシップ型雇用においてはなかなか理解が進まないが、派遣労働者の基本は「職務給」であり、同一労働同一賃金が限りなく整備された状況といえる。

 また、そういった観点においていえば、「派遣会社」とは海外における業種横断型の労働組合に近い賃金相場の形成や同一職種別現場への平行移動を容易にする仕組みができているといえ、この辺りはもっと社会に認知されるべきだと感じている。もっといえば、少子化問題を考えるに当たり、派遣業界と労働組合は対立構造ではなく本来は歩み寄ってこそ本当の解決につながるように思っている。

 そして、現在の雇用・労働を取り巻く課題の1つにAI(人工知能)やIT、ロボットなどの自動化の問題もあるように思う。筆者は国の未来を考えた場合にこういった流れは歓迎すべきで、加速させるべきだと感じているが、一方で確実に単純な労働は消えていくことは間違いないと思っている。一方で労働人口も減ることから、労働者不足はこの先もなかなか解消しないとする予測もある。

 ここで大きな問題が発生する。単純労働に長く従事してきた労働者はパソコン等を活用した業務になかなか移行できないことが予測され、そのような人材が多く存在することで労働者不足はより加速し、かつ社会保障費用も増大する可能性があると筆者は考えている。そんな労働者に雇用の場と教育の場を用意できる仕組みが「労働者派遣」には存在している。

 2015年9月に改正された労働者派遣法において「派遣労働者へのキャリアコンサルティングの義務」と「有給無償のキャリアアップに資する教育訓練の義務」が派遣会社には課せられている。現状のスキルや経験で働くことができる場所でとりあえず働きつつ、将来のジョブイメージが明確になるまでキャリアコンサルティングの機会を得て、給料を受け取りつつ無償で教育訓練を受けることができる。まだまだ実績も社会の認知も乏しいが、派遣業界をそのポジションにまで引き上げる必要がある。

掲載 : 労働新聞 平成30年7月16日第3169号10面

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