心の健康対策に重点/はら社会保険労務士事務所 原 幸一郎

2018.05.13 【社労士プラザ】

はら社会保険労務士事務所
原 幸一郎 氏

 私は、社会保険労務士事務所を開業する前に、地方公務員の共済組合で障害年金などの審査業務を担当していた。当時は慢性腎不全に伴う人工透析での障害年金の請求が非常に多く、次に脳疾患や心臓疾患に伴う請求で、その次が精神疾患だった記憶がある。

 現在、国民年金や厚生年金の障害年金受給者数は200万人を超え、平成26年現在の障害年金の受給状況は約25%が精神障害であり、以前に比べ精神疾患に伴う障害年金の請求が特に高まっているように感じる。

 私は、前職で障害年金の診断書を数多くみてきたが、同じ精神疾患でも詳細に記載されている診断書と簡単な記載で留まる診断書があり、障害等級を判定する際に困った経験がある。

 精神疾患の診断書は、日常生活能力が重視されているため、家族が障害年金請求者本人の家庭での生活状況を医師に正確に伝えることが重要になる。たとえば、診断書の日常生活能力の判定欄は、家族と過ごしていても単身で生活した場合を想定していることから、医師との情報共有が必要になる。また、請求者本人が「病歴・就労状況等申立書」に日常生活の困難さなどを分かりやすく記載することも大切である。

 精神疾患の中でも社会問題化しているうつ病になる一因としては、職場環境が挙げられる。

 たとえば、長時間労働や非正規労働などによる強い不安やストレスがうつ病になる一因と医学上いわれていることから、職場のメンタルヘルス対策はとても重要である。

 現在、従業員数50人以上の会社では、労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」が義務化されているため労働者の心理的な負担の程度を把握することができるが、50人未満の会社は把握が進んでいない状況である。しかしながら、少人数の会社こそ、うつ病などのメンタル不調者が出た場合の影響は大きく、職場全体のストレスが高まることから、日頃から従業員に対するメンタルヘルスケアの情報提供が必要である。

 私は社会保険労務士として、経営者や従業員とともにメンタル不調にならない働きやすい職場環境を作り上げることが責務であると感じている。その上でメンタル等の不調者が出た場合に備え、職場復帰プランや働きやすい勤務形態を設定するなどして、就労と治療の両立できる環境を同時に検討することが、経営者と従業員が安心して仕事に専念できる職場環境につながると考えている。

はら社会保険労務士事務所 原 幸一郎【東京】

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TEL:090-1806-4358

掲載 : 労働新聞 平成30年5月14日第3160号10面

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