【主張】技能実習法案の成立急げ

2016.04.25 【主張】
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 外国人技能実習の適正な実施と技能実習生の保護に関する法律(技能実習適正化法案)が衆議院法務委員会でようやく実質審議入りした。昨年の通常国会に法案提出され、継続審議となっていたもので、丸々1年遅れのスケジュール消化となっている。この先、今通常国会にどのような障害が生起するか分からないが、これ以上の遅れは絶対に許されない。与野党協力の上、一刻も早く成立させなければならない。

 同法案が継続審議となっていた期間にも技能実習に係わる法令違反事件が頻発している。本紙がごく最近取材した司法処分をみると、技能実習生に最低賃金に満たない賃金を支払っていた縫製業者を、岐阜労働基準監督署が身柄拘束した事案(4月4日号3面掲載)がある。社長らが堂々と証拠隠滅や調査妨害を行ったもので、極めて悪質だ。

 埼玉・熊谷、川越の2労基署では、技能実習生に対して1カ月最長110時間に及ぶ違法残業をさせたやはり縫製業者を書類送検した(3月21日号3面掲載)。ここでも帳簿やタイムカードの改ざんが行われるなど、労基署の捜査に対する軽視が甚だしい。

 研修・技能実習に関して法務省が行った受入機関に対する「不正通知」の件数を集計したところ、平成27年1年間で270件を超え、現行制度施行以来の増加傾向が止まらない。「不正通知」の中心は、賃金不払いなどの労働関係法違反、文書の偽変造などだ。

 ようやく審議を開始した同法案は、監理団体を許可制、実習実施者を届出制としたうえ、技能実習生に対する人権侵害などについて禁止規定を設け、併せて罰則を明記している。関連事務と監理団体・実習実施者への実地検査を担当する全国規模の法人も新設する。

 技能実習は、企業にとって人手不足を補える側面があり、利用が拡大している。しかし、一方で悪質な法令違反が目に余る状況にあり、政府としては的確な運営へ向けた軌道修正を急ぐ必要がある。同法案を早急に成立させ、これ以上の問題の拡大に歯止めを掛けるべきだ。再度の施行延期は受け入れられない。

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平成28年4月25日第3062号2面 掲載

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