【見逃していませんか?この本】一躍売れっ子になって何が変わったのか/若林正恭『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』

2016.03.25 【書評】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 本書は、雑誌『ダ・ヴィンチ』の2010年8月号からスタートした連載「社会人大学人見知り学部」の文庫本版だ。

 著者は、1日中テレビをつけていれば1度は必ず観ると行っても差し支えないほどの売れっ子であるオードリー・若林正恭。2008年のM-1グランプリで2位となって以後、一躍ブレイクした姿についての説明は必要なかろう。

 長年にわたって執筆されたものをまとめているため、芸人として売れ、仕事をしていく中での心境の変化や成長が手に取るように分かる。突如として売れ、今まで「テレビ越しに見ていた世界」が「働く世界」となったことへのギャップは面白い。

 「おじさんの悩み」の章では、20代前半の新人マネージャーに対する指導に苦悩する姿が書かれているが、これはそのまま部下(後輩)への指導や接し方に悩んだであろう諸兄が共感しそうなポイントである。「ちょっと前までは自分より年上の人がマネージャーをやっていて、移動は後ろをただただついて行ったり、仕事でダメだしがある場合は『はい』と頷いているだけであった」状況が一変。新人マネージャーへ説教すると決意するまでの”モヤモヤ”もさることながら、いざその覚悟を決めて「どう言えばいいのだ!」とさらに葛藤する描写が可笑しい。

 さて、オードリーといえば、2009年から『オールナイトニッポン』を続けている。本書に書かれていることも、ラジオでかつて話題になっていたことが多く、かつてリスナーだった人、今リスナーの人にとっては、一層読み応えがあることは間違いない。編集子自身、読んでいるうちに番組開始当初の長い長いフリートークを思い出し、懐かしさを感じたものである。

 ネガティブな人、異性が苦手な人、人見知りな人――社会に対して必ずしもいつも前向きに接することができない人にこそ手に取ってもらいたい。あとがきまで読み終えた時、ちょっとだけ気持ちが楽になっているのではないだろうか。(M)

若林 正恭、角川文庫・691円/わかばやし まさやす お笑いコンビ「オードリー」のツッコミ担当。読書好きでも知られ、この4月からは毎回ゲストに作家を迎える文学バラエティ『ご本、出しときますね?』がBSジャパンでスタートする。

Amazonで購入する

関連キーワード:

    あわせて読みたい

    ページトップ
     

    ご利用いただけない機能です


    ご利用いただけません。