『多様な人材』生かす管理を/福谷経営管理事務所 福谷 丞太郎

2016.02.01 【社労士プラザ】

28.2.1 “腐ったりんごは隣を腐らせる”というアメリカのことわざは、「まともなりんごの中に腐ったりんごを入れると、その周りからじわじわ腐っていく」ことを組織の中における人材になぞらえ、腐ったりんご=人罪(問題のある人材)は取り除くべきだという意味である。

 その考えにも一理あるとは思うが、一方でりんごの保管方法に問題はないのか考えなければならない。保管方法が悪ければ、まともなりんごも腐りやすくなる。

 部下に関心を示さない上司のもとでは、部下の意欲も減退し、倫理観も欠如していくといわれる。また、社内秩序が乱れた企業には、人罪がはびこるものだ。

 私が住む滋賀県には、日本一大きな湖である琵琶湖がある。そして、琵琶湖は多くの河川や小さな湖、池とつながっている。河川や小さな湖、池はもちろん、琵琶湖だけでもエリアにより全く水質が異なり、澱んで濁った水のエリアもあれば、透明度の高いきれいな水のエリアもある。そうした中で、濁った水を好む魚もいれば、清らかな水を好む魚もいる。

 社内環境の澱みを浄化して、清らかな水(適性を活かした配置、的確な評価・指導、公平な処遇、風通しの良い職場)に変えてやれば、その環境に適応できる魚(社員)は適応していくだろうし、適応できない魚(社員)は他の場所(他の企業)へ自ら移動(転職)していく。魚も人も同じで、自分にとって居心地が良いと感じる環境に定住しようとするものである。

 社内環境の澱みは、社員間のコミュニケーションを妨げ、社員の活力を低下させていく。反面、しっかりとしたマネジメントの仕組みが整備された企業では、社員が人財(求める人材)に育つだけでなく、自然と人財が集まり定着していく。

 私が関与させていただいている企業の中には、社内秩序が乱れた企業や経営に行き詰まり赤字が続く企業などもあったが、マネジメントの仕組みを導入したことで、一人ひとりの社員が上司から認められるようになり、その結果、社員の行動が変わり、経営体質の改善につながっていった。労働力人口が大幅に減少していく今こそ、企業には、多様な人材を人財として生かすマネジメントの仕組みが必要ではないかと強く感じる。

福谷経営管理事務所 福谷 丞太郎【滋賀】

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掲載 : 労働新聞 平成28年2月1日第3051号10面

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