育児休業の活用を提案/オフィス石野 代表 石野 晴美

2013.08.05 【社労士プラザ】

オフィス石野 代表
石野 晴美 氏

 社会保険労務士の仕事に携わるようになってから早いもので15年近くになるが、先日、初めて顧問先企業から「男性社員が育児休業を取りたいと言ってきたのですが」と男性の育休取得に関するご相談をいただいた。

 公務員や大手企業を含めた男性全体の育休取得率が1~2%の現状において、特に中小企業では、男性の育児休業などは現実味がないと思われている方も多いのではないだろうか。しかし、それは大きな勘違いである。

 ちょうどその1カ月前に別の顧問先で就業規則の説明会を行った際も、出産や育児に関する休業制度・各種給付のことを熱心に質問したのは、20歳代後半の男性社員の方だった。ここ1、2年で、20~30歳代の男性社員から、出産育児関連の制度について積極的な質問をいただくことが珍しくなくなったと感じている。

 この理由はなぜなのか、と考えてみると、政府広報やイクメン芸能人の影響、家庭科が必修科目となったなど、この世代の持つ感覚的な理由も大きいだろうが、やはり一番は、共働きをしなければ家計が大変なことになるという危機感からではないだろうか。

 今年7月に発表された「平成24年の国民生活基礎調査」によると、国民全体の平均世帯年収は548万円となっている。1994年の664万円をピークに20年近く下がり続けていたのが、ようやくここへきて上昇に転じたようだ。しかし、20歳代は、平成23年調査から横ばいの約315万円のままである(しかも平均値は高い者に引っ張られるため、低い者から高い者へと順に並べたときの中央値はそれよりもかなり低いはずだ)。

 若い世代は、賃金上昇の期待を持てないまま結婚し、子育てしなければならない状況に直面している。したがって、男性1人で一家の収入を全て支えるよりも、2人で稼ぎ、子育てもシェアしながら働き続けることを追求することは、当然の帰結といえる。

 しかしながら企業側は、40歳代以上の経営者、人事担当者の割合が多く、まだまだ昭和の感覚から抜け出せていない。若い世代が増えるにしたがって、法的義務ではなく、生活維持の必然として育児介護休業を考え、労使双方にご提案することを心がけていきたいと思っている。

オフィス石野 代表 石野 晴美【愛知】

【公式webサイトはこちら】
http://www.of-i.jp/

ジャンル:
掲載 : 労働新聞 平成25年8月5日第2931号10面

あわせて読みたい

ページトップ