業務起因の精神疾患防止へ/社会保険労務士法人人的資源研究所 代表社員 平尾 敬一

2014.12.15 【社労士プラザ】

社会保険労務士法人
人的資源研究所 代表社員
平尾 敬一 氏

 「メンタルヘルス不全」が原因である休職相談が急増していることに、一抹の不安を感じている。「メンタルヘルス不全」でとくに多いのが、「うつ病」といわれる精神疾患に罹患した社員の相談事例である。

 相談時において私はまず、「うつ病」と診断された社員の罹患原因が、業務上の起因性や因果関係によるものかどうか調査(ヒアリング)を行うようにしている。精神疾患による業務上災害の申請件数がここ4~5年で倍増しているからである。

 うつ病とは、簡単にいうと、「眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめない」状態が続いていることをいう。つまり、仕事も趣味なども含めて、楽しめない、集中できない状態なのである。うつ病を発症した社員が存在する会社にとっては、大いなるマイナス要因であることは間違いない。しかも、業務上災害と認定されるような原因が会社にあった場合は、会社は損害賠償の責めに応じなければならないのである。

 業務上災害と認定されないようにするためには、まず、時間外労働が過重労働と認定され得る月80時間を超えないように注意管理すべきである。また、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントのない職場づくりを心掛けることが大切である。

 私は最近、「パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント」研修に講師として招聘されることも増えてきている。研修を継続しているある会社において、継続3年目の研修時に「社内アンケート」を実施したところ、25~30%くらいの社員から、パワーハラスメントを受けたという声が上がった。研修では、アンケートの内容や判例を参考にして、「教育指導の下で、許される行為を線引きして、適切な指導方法を明確にする」ことが必要であると考えている。

 最後に、「社内アンケート」のなかで多くの社員から寄せられた項目のうち、軽微な内容のようである「無視された」、「無視を繰り返す」、「有給休暇中に懇親会が開かれた」といった行為は、「いじめ」が意図されたものであることを、管理職は認識しなければならないことを申し上げたい。

社会保険労務士法人人的資源研究所 代表社員 平尾 敬一【福岡】

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掲載 : 労働新聞 平成26年12月15日第2997号10面

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