従業員の悩み解消が第一/社労士オフィスONE 代表 沢田 寿晴

2014.11.24 【社労士プラザ】

社労士オフィスONE 代表
沢田 寿晴 氏

 介護特化の社会保険労務士として独立し、3年目を迎えた今、介護事業者のコンサルティング業務を受けることが多くなった。中でも組織全体の働きがいづくりに関する依頼が圧倒的に多い。よくあるコンサルティング手順としては、理想を掲げて現実との差を問題として捉えるところから着手することが多い。このやり方で何も間違いはないと思うが、問題の出し方を浅くしてしまうと、スタッフ全員が理想へ向かえなくなることがあるので留意する必要がある。

 ビジネス系のテレビ番組で、「感動企業」をキーワードにしたものが放映されているのを見かける。この話自体は素晴らしいが、あまりにも表面ばかりがクローズアップされていることが気にかかる。私のお客様でもテレビ番組で紹介されていた企業の取組みを気に入った社長がいた。早速同じように制度を採り入れてみたものの、絵に描いた餅で終わり、1カ月も経たずにその制度は自然消滅した。原因として社長自身が花火だけ打ち上げて、その後に注力しなかったのもあるが、最大の点は従業員の声を無視したことにある。

 実際に私が中小企業で組織を変えていく場合に最初にやることは、働く従業員の話を聴くという行程である。社長は、組織改善を図りたいと悩んで相談にやってくる。しかし、従業員も同じく悩んでいることを理解する必要がある。

 社長や上司が意見を聴いているつもりでも、現実には利害関係があるため話しづらいという心理が従業員には働くものだ。こうしたモヤモヤした状態で理想を追求しても従業員がついてくるわけもない。例えるなら、風船に空気(不平・不満・意見など)がパンパンに入った状態で新しい空気(理想・夢・目標など)が入るわけがない。

 新しい空気を入れるためには、まず空気を出す。つまり、従業員の話を根掘り葉掘り聴き出すことがスタートである。当事務所ではこの部分を無記名アンケート調査の活用で引き出している。従業員もアンケート用紙が直接社内の上層部にいかないとなると、現実的にかなり本音で書いてくれる。従業員の心の声を解消することが組織の理想追求をよりいっそう加速させる第一歩である。

社労士オフィスONE 代表 沢田 寿晴【北海道】

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掲載 : 労働新聞 平成26年11月24日第2994号10面

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