障害者の『活躍』導く環境へ/社会保険労務士法人東京中央エルファロ 共同代表 若林 忠旨

2016.01.25 【社労士プラザ】
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28.1.25 平成28年4月1日から改正障害者雇用促進法が施行される。

 「障害者に対する差別の禁止」、「合理的配慮の提供義務」、「苦情処理・紛争解決援助」が施行され、平成30年から法定雇用率の見直しがされ、精神障害者が法定雇用率の算定対象に加わることになる。

 私は10年以上前から人工透析を行っている障害者であり、障害者手帳も取得している。実際に障害者雇用枠で就労していた経験もあり、その経験を生かして、創業当初より障害者の雇用を進めたい企業、障害者就労移行支援事業を行う企業やNPOにかかわってきた。

 障害者雇用を進めるうえで前から気になっていることがある。それは企業・雇用者ともに未だ「福祉としての考え方が強いのではないか」ということである。そのため、障害者雇用が進んでいるといっても、障害者雇用率を前提とした雇用義務化など、マイナス的な考えが前提として進んでいるように感じることが多い。

 これが進むとどうなるか。経済状況や経営者の考えの変化などにより雇用が安定化せず、些細なことから労働問題に発展する。結局は、「障害者雇用は面倒だ」という印象を企業側に与えることになる。

 こういったことを防ぐためには、企業側は「障害者を活躍する社員」として捉えること、労働者側は「賃金をもらうだけの働きを行う」ことを認識し、「福祉から就労へ」としての考え方を進める必要がある。もちろん、そのような働きができない方のために、福祉の考え方を残す必要があるが、このような考え方もする時代になってきたのではないと感じている。

 安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」を実現するためには、女性・高齢者に加え、障害者の雇用を促進することも必要不可欠になる。そのためには、現在のような「義務や罰則」で進める障害者雇用ではなく、企業内で活躍できる人材としての障害者雇用が求められる。

 社労士は人事労務の法律だけでなく、採用や人事評価など、人材活用のエキスパートでもある。障害者が安心して働ける環境や、企業が安心して雇用できる環境を作る。そういった活動を通して、1社でも障害者と企業がWINーWINな関係になるように努力していきたいと考えている。

社会保険労務士法人東京中央エルファロ 共同代表 若林 忠旨【東京】

【公式Webサイトはこちら】
http://elfaro-sr.jp/

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    平成28年1月25日第3050号10面 掲載

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