戦略的な障害者雇用へ/社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング 染川 憲一

2014.10.27 【社労士プラザ】

社会保険労務士法人
エムケー人事コンサルティング
染川 憲一 氏

 リーマン・ショック(2008年)以降、国内の雇用に関する法律の改正がめざましい。特に画期的だったのが、13年4月に改正された障害者雇用促進法であり、障害者の雇用率が2.0%(常用労働者50人以上の場合に1人雇用)に引き上げられた。しかし報道等で伝えられていない問題は、15年4月1日から雇用納付金(法定雇用率に達していない場合に1人当たり月額5万円徴収)が100人以上200人未満の企業にも課せられる(現在は200人以上の企業のみ)ことである。

 さらに16年4月施行予定で、「採用において障害を理由とする差別的取扱いが禁止」される。具体的には、募集・採用の機会において、身体障害、知的障害、精神障害、車いすの利用、人工呼吸器の使用などを理由として採用を拒否することができなくなる。また賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などについても社員と同等の扱いが求められることになる。これらの改正により、100人未満の中小企業にも障害者雇用の受入れ態勢が必須となった。

 しかし、実際問題、多くの中小企業にとって障害者雇用の導入が促進されるだろうか。そもそも法改正の認知度が低く、到底受け入れられるとは思えない。多くの障害者雇用事例をみてきた筆者にとって、次の課題が挙げられる。①障害者に対してすぐに生産性だけを求めない、②障害者雇用のための土壌を作る(受入れ態勢のための社員教育・意識改革、OA機器の整備、施設の改良等)、③障害者雇用のために仕事を作る、④トライアル・アンド・エラーを継続させる――これらの準備をするには、最低でも3年以上は必要である。16年以降に向けて今から準備をしていかなければ、法改正の対応が困難となる。 一方で、先んじて投資をしてきたのが大手企業である。彼らは、良い人材の採用のために青田買いを続け、現在、一部の業界では売り手市場になっている。このような背景を踏まえると、なおさら中小企業にとって障害者雇用の準備が急務である。そして企業の差別化、CSR(社会的責任)といった観点から社労士業務の一環として啓蒙することがサービスの付加価値業務として必要となることは間違いない。

社会保険労務士法人エムケー人事コンサルティング 染川 憲一【東京】

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掲載 : 労働新聞 平成26年10月27日第2990号10面

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