小さな声を聞き逃さない/やまだ社会保険労務士事務所 所長 山田 隆司

2014.09.22 【社労士プラザ】

やまだ社会保険労務士事務所 所長
山田 隆司 氏

 働き方の多様化に伴い、労使間におけるトラブルも同様に多様化し、増加傾向にある。性別や国籍、年齢などを問わずに多様な人材を活用することは、高効率、生産性の向上が期待できるものの、それに見合った高度な労務管理が必要だ。トラブルの背景には、そうした適切な労務管理がなされていない職場環境下での「言った、言わない」に起因する事案が際立っている。労働条件通知書や雇用契約書において書面明示すべき事項が、面接時、採用時における口頭で済まされているため、後のトラブルへ発展するなどもその例の一つだ。

 人材の採用においては、最低限の決められたルールは守るという基本原則にのっとって進めることが重要であり、奇をてらうと、効果がないどころか損失を被ることも少なくない。求人を例にとれば、基本給を高く設定しなければ人が集まらないとして、その代わりに残業は満額出さないなどの違法な契約をした結果、労働者側に「こんなはずじゃなかった」という疑問が日々の勤務の中で積み重なり、やがては爆発し、紛争に発展するといった事例も未だに存在している。

 有給休暇が取得できない、最低賃金を割れている、残業代が支給されないような基本原則を逸脱した行為は労務管理以前の話であり、ブラック企業などのネーミングを誕生させる温床といえよう。

 労使双方の相談を受ける中で、意外なことに相手の「気持ち」について、お互いに見えていないことがめだつ。「そんなことだったのか」。よく聞く言葉だ。冒頭でも述べたとおり、トラブルの大半は「言った、言わない」に起因し、それは些細なことの積み重ねであったりする。こうした小さな不満足を一つひとつ解消していくことが大切であり、次いで職場全体の制度を構築する意見聴取へと昇華させていくことが必要であると考える。

 弊所では、「行政に何度も相談した」、「こんなことを役所に相談したら処罰される」などといった小さな声に耳を傾けるために”職場の保健室”を設け、労使双方が気軽に相談することができる態勢を整えることで、問題の解消あるいは解決に向けた取組みを行っている。

やまだ社会保険労務士事務所 所長 山田 隆司【東京】

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掲載 : 労働新聞 平成26年9月22日第2986号10面

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