【主張】特定最賃は労使の主導で

2025.05.01 【主張】
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 経済同友会はこのほど明らかにした政策提言で、地方のエッセンシャルワーク領域に対し「職種別最低賃金制度」を導入すべきと訴えた(参考記事=職種別最賃導入を 生活必須職へ移動促進 同友会提言)。運輸、建設、介護など8職種をエッセンシャルワーク領域と位置付け、中央最低賃金審議会でこれら職種の特定最低賃金についても改定額の「目安」を示し、地域ごとに引上げを図っていく必要性があるとしている。

 見逃せないのは、同時に「労働移動に伴う収入ダウン」への配慮も求めた点で、前職の賃金との差額を補填する補助金の創設を提案した。再就職して半年経った人材に対し、2年間にわたり年300万円を上限に補填するという。

 提言をまとめた中堅・中小企業活性化委員会の寺田航平委員長(寺田倉庫㈱取締役社長)は記者会見で、補助金により10万人程度のデスクワーカーの移動を促したいと語った。「約2年間で資格を取得し、ナレッジを修得していくと…管理職のポジションまで上がっていける可能性が極めて高い」とする。実現すれば求人賃金の高騰に悩む地場企業にとって、魅力的な仕組みになるのは間違いない。

 賃上げ環境の整備に特定最賃を活用することに関しては、石破茂首相が3月の参議院予算審議会で「いろんな制度が本当にその制度の趣旨を果たしているかどうか、政治主導できちんと判断する」旨を発言した。国民民主党・田村まみ議員の質問――最賃1500円以上の目標達成に向け、特定最賃の活用を骨太の方針で掲げてはどうか――に応じたもの。同議員は、要件を満たして地方最低賃金審議会に新設を申し出ても、必要性が認められない例があると指摘した。

 特定最賃は、その地域の関係労使の申出により新設・改正・廃止される。新設申出のハードルは高く、対象となる基幹的労働者の過半数が「地域別最賃を上回る最賃を定めた労働協約」の適用を受けている必要がある。企業内最賃の拡大が、特定最賃をもたらす。日商ら中小企業4団体の要望どおり(本号3面に関連記事)、まずは「各地域の労使のイニシアティブに基づく議論を促すべき」だろう。

令和7年5月12日第3496号2面 掲載
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