【見逃していませんか?この本】マスターの人生を覗く感覚に/菊池亜希子『好きよ、喫茶店』

2017.08.12 【書評】

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 「母の帰りを近所の喫茶店で待つなんてことは日常茶飯事だったし、休日の朝は家族で喫茶店に行きモーニングを食べることから始まる」――と語る筆者は、喫茶大国名古屋の隣・岐阜県出身。日常のなかに喫茶店があった彼女が綴る本書は、タイトルに偽りなく喫茶店愛に溢れる。

 都内の喫茶店20店(多くは昔ながらの喫茶店)を紹介しているが、ただコーヒーの味や店の様子をまとめているわけではない。後書きの言葉を借りれば、「気づけばお店を探訪するというよりも、マスターの人生を覗かせてもらっているという感覚が強くなった」。

 それぞれの店の歴史や、マスターの人となり・人生観を紐解いていく。コーヒーのみならず人間のコクをも味わえる…といっても大袈裟ではないだろう。

 筆者が自ら描いた温かみのあるイラストが、その雰囲気や人柄を的確に切り抜いていて心地いい。

 コーヒーショップは市中のあちこちにあるが、あえて昔ながらの喫茶店で一服することは、気ぜわしい現代人がリラックスするために必要なことかもしれない。(M)

  きくち あきこ、マガジンハウス・1944円/女優・モデル、1982年、岐阜県生まれ。『菊池亜希子ムック マッシュ』編集長。著書に『またたび』『絵本のはなし』『みちくさ』『菊池亜希子のおじゃまします 仕事場探訪20人』など。

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