【主張】介護休業の柔軟化を急げ

2015.09.07 【社説】

 厚生労働省は、次期通常国会に介護休業制度の見直しを柱とした育児・介護休業法改正案を提出する予定という。女性の活躍推進へ向けた育児休業制度の充実に目が奪われがちだが、超高齢化社会にあって介護・看護を取り巻く状況も一層深刻化しており、喫緊の課題であることを再認識すべきである。

 過去5年間で約44万人が介護・看護を理由として離転職し、しかもその離転職者の多くは職場の中心にいる40~50歳代の働き盛りである。今回の改正により、介護休業、介護休暇のより柔軟な取得が可能になると考えられ、次期通常国会で必ず成立させ、できる限り早い時期に施行してもらいたい。どの政党も今回改正の原案に異論はないはずである。

 介護休業は、現行法上、要介護状態に1回、最長93日まで取得が可能である。実態をみると、介護の最も必要な時期に備えて「取り控え」する労働者が少なくない。介護などのために年次有給休暇を取得するケースも多く、これでは本末転倒である。

 このため、介護休業を義務化した平成11年から16年間が経過した現在においても、介護休業の取得者割合はわずか3%止まりだ。

 原案では、定期的・スポット的に介護が必要となった場合を想定して、分割取得を可能とする方向である。たとえば、介護の始期、介護の終期さらにその間にそれぞれ1回程度の休業取得を想定しているという。介護休業を取得できる対象家族についても、同居していない祖父母などに拡大する見通しである。

 介護の態様は人それぞれであり、柔軟に対応できる制度があって初めて活用が進むものである。また、親族のうち誰が介護を行うかも一律ではない。時間の経過によって担当する家族が変わっていく可能性もある。とくに今後は、認知症高齢者の増大が見込まれ、対応がより難しくなってこよう。

 遅きに失する感のある介護休業の柔軟化だが、企業側もコスト増などを乗り越えて法改正に一丸となるべきだ。超高齢化社会に踏み出したわが国の宿命である。

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掲載 : 労働新聞 平成27年9月7日第3031号2面

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