【主張】旧態依然のまま働く介護労働者

2013.05.27 【社説】

 厚生労働省は、適正な労働条件を確保できにくい「訪問介護員」を雇用する事業者に対して、「魅力ある就労環境づくり」というリーフレットを作り、改善を呼びかけている。 とくに問題になっているのは、移動時間。これは事業所、集合住宅、利用者宅の相互間を移動する時間を指すが、理解されていない事業者がめだっている。リーフレット作成の基準となった「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」という通達(平16・8・27基発第0827001)を再確認してみる。

 訪問介護事業においては、訪問介護の業務に直接従事する時間以外の労働時間である「移動時間」等について、賃金支払いの対象としているのかどうか判然としていないと認められるが、賃金はいかなる労働時間についても支払われなければならないものであるので、労働時間に応じた賃金の算定を行う場合は、訪問介護の業務に直接従事する時間のみならず、移動時間等の労働時間を通算した時間数に応じた賃金の支払いを行う。

 通算した時間の賃金水準については、最低賃金を下回らない範囲で、労使の話合いによって決定すべきである。

 訪問介護労働者は、利用者宅に移動することを前提に訪問介護の業務に従事するものであり、通常その移動に要する費用については、事業の必要経費との性格を有し、事業場が実費弁済として支給する旅費、交通費等は、一般的には労働の対償でないから、賃金とは認められないので、最賃との比較に当たっては、対象賃金額に算入しない。

 この通達が発出されてから約8年経過しているが、㈶介護労働安定センターが実態調査を行ったところ、23.1%の事業者が「移動時間について賃金を支払っていない」ことが明らかになった(本紙5月6日号2面参照)。このほか「所要時間に応じて『時給』を支払う」という眉唾的回答が26.5%、さらにあやふやな「標準額を決めて手当を支払う」事業者が20.6%あり、霞がかかったような状態である。記録などの付随的事務作業では26.0%が不支給。個別労働の弱みに付け込むようでは人員確保は夢物語だ。

ジャンル:
掲載 : 労働新聞 平成25年5月27日第2922号2面

あわせて読みたい

ページトップ