【主張】学業優先は綺麗ごと過ぎないか

2013.09.23 【社説】
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 話はいささか旧聞に属し、恐縮だが、厚生労働省と文部科学省がまとめたところによると、今年4月1日現在における3月大学新卒者の就職率は、前年同期比0.3ポイント上昇し、93.9%となった。2年連続の上昇というが、この全体数値をみて喜んでばかりはいられない。男子は1.3ポイント低下(93.2%)しており、女子の2.1ポイント(94.7%)上昇に助けられての結果である。男子が女子を下回ったのは、実に5年振りとのこと。厚労省では「女子の就職の多い医療・福祉の求人増と男子の採用が多い製造業の求人減などが影響したのではなかろうか」とみているが、いささか寂しい感じがする。

 このところ、経済界は安倍政権への協力がめだち、変えたばかりの「採用選考に関する倫理憲章」を再度見直し、学業優先にさらなる配慮を期す方向性を打ち出した。背景には今年3月に、下村文科相の「就職活動をできるだけ遅い時期に、4年生の後半が望ましい」とする発言、翌4月には、安倍総理が経団連、経済同友会、日本商工会議所の3団体に「就職活動後ろ倒し」の要請で後押ししたということがある。

 経団連では、早速、「日本再興戦略」に基づき、会社説明会などは卒業前年度末の3月1日以降に、選考活動は卒業年度の8月1日以降とすることを決めた。同時に倫理憲章は「採用選考に関する指針」に改称する。見直しの対象は、16年4月に入社する現在の2年生から適用するそうだ。会社説明会で現行より3カ月、選考開始で同4カ月後ろ倒しするわけだ。倫理憲章は会員企業の自己責任に基づいており、昨年は約6割が賛同していた。これに対し、指針は会員すべてを対象とするというから、強い拘束力を持つ。

 就職情報サイトの「マイナビ」調査によれば、現行憲章についても、求職学生は就職活動に「不利」(50.8%)と過半数が訴えており、この不満はさらなる高まりをみせそう。不謹慎ながら、安倍政権も経営側も「大学教育の充実と留学促進のため」というのは、きれいごと過ぎるのではないか。「弱い者いじめ」で反発を食らうことを恐れる。

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平成25年9月23日第2938号2面 掲載

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