【主張】復興従事者の継続雇用に知恵を

2013.07.22 【社説】

 アベノミクス効果が実体経済にどのように反映しているか、依然不明のまま。庶民は乱高下する株価をみて、むしろ不安さえ感じている。不安材料のひとつは、来年4月1日から消費税が8%になり、翌15年10月からは10%となることがほぼ固まっているなか、労働分配率はめだった動きを示さず、円安が重なり、すでに小麦粉やマヨネーズといった生活に直結する物品の値上げが続いていることだ。

 外国産小麦は、国が一括して輸入し、国内の製粉会社に売り渡す仕組みである。農林水産省は、その売渡し価格を4月1日から9.7%上げた。同省によると、消費者物価に与える影響は、0.008%だそうだが、小麦にかけられている関税が、なんと252%という高率であることを寡聞にして初めて知った。現在、11カ国が加入しているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を日本もめざしているが、農業分野における高関税をゼロにするのは、なるほど至難の業である。国内における食糧自給率の改善は、安全保障にかかわる重要な課題であることは確か。ただ、国際競争力のまったくない農業を保護して、他の分野の経済発展を犠牲にしていいのか、関係者以外は疑問に思うところではないか。

 これまたアベノミクスとの関連は不明だが、5月の有効求人倍率が0.90倍、新規求人倍率も1.42倍を示し、それぞれ対前月比0.01ポイント、0.02ポイント上昇し、完全失業者が同じく18万人減少し279万人になったこと。とりわけ完全失業者は、36カ月連続の減少という雇用関係をめぐる数値の改善は、不安のなかでわずかな希望を与えた。反面、人手不足により東北大震災の復興計画が思うにまかせない状態にあるが、今後、スムーズな労働力移動によって改善されれば、国民に一層期待感が湧いてこよう。

 復興は土木作業が大きなウエートを占めるだけに、職掌転換にはその後の継続雇用を保障するバックアップが当然求められる。その技術力が国際的に評価されれば、波及効果も大きいし、日本の援助が生きる礎となろう。受入態勢の整備が喫緊の課題である。

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掲載 : 労働新聞 平成25年7月22日第2930号2面

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