【主張】日雇派遣禁止不評は予測どおり

2013.06.24 【社説】

 「順序が逆だろう」というのが、大方の感想ではなかろうか。①事業規制の強化②無期雇用化や待遇の改善などを主な内容とする改正労働者派遣法は、昨年10月1日から施行された。日雇派遣(日々または30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)は原則禁止となり、依存割合の高かった派遣先・元企業では、「日々紹介への切替え」などで、対応を図っており表面的には落ち着いたかにみえる。

 1000万人に達するとまでいわれているワーキングプア(年収200万円以下の低賃金労働者)定着の元凶となったのは、日雇派遣と声高に叫ばれ、ほぼ命脈を断たれた。

 順序が逆というのは、このほど厚生労働省が実施した「改正派遣法の施行状況に関する聞取り調査」によって、日雇派遣禁止が労使双方から「不評を買った」ことが明らかになったからだ(本紙5月2日号1面参照)。聞取り調査が、法案作成前に行われていたら、別な形で日雇派遣が存続した可能性もある。原則禁止に傾いた世論をみて、時の政権は、票に結び付くと同時にお涙頂戴のポピュリズムが正論と飛び付いた。聞取り調査結果も、その意味では当然と受け止めざるを得ない。経済同友会は「すべて日雇派遣労働者が直接雇用にシフトできる保証はなく、むしろ労働市場のミスマッチにより雇用機会が失われ、多くが失業に繋がるおそれがある」という意見を出していた。

 派遣・請負で働く労働者で組織している「人材サービスゼネラルユニオン」が厚労省に提出した意見書では、「日雇派遣で起きている問題は、コンプライアンスの問題として解決すべき。常時日雇で生活している一部の人々に関しては、教育訓練機会の提供や職業紹介などの社会政策で対応すべきあって、『禁止』で解決できる問題ではない」「日雇派遣問題が、一般にワーキングプア問題に歪曲化され、その結果、解決に向けての議論も歪められたものになっている」というが、調査結果と見事に符合した。政府の産業競争力会議が、派遣法の再改正素案を明かしている。ことの良し悪しを抜きに論ずれば、これぞまさに朝令暮改というのではないか。

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掲載 : 労働新聞 平成25年6月24日第2926号2面

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