【主張】健診結果報告はきちんと把握を

2014.04.07 【社説】

 事業者に義務付けられている健康診断には、①雇入れ時②定期③特定業務従事者④海外派遣労働者などがあるが、②の実施率は300人以上規模では100%に達しているように、健康保険組合や中小企業を組合員とする総合健保などでは、担当者が配置されているため、きちんと管理されているようだ。

 いっせい健診の場合は会社主導となっているため、300人未満の中小企業でも管理が行き届いていると思われるものの、従業員個々の都合で受診させているケースでは、労働安全衛生法の規定が順守されているかどうかが心配になる。というのも、健診実施団体の多くは、その結果を法人宛に送ることは少なく、個人宛が大部分になっているからだ。受診機関もバラバラとなるといきおいそうなってしまうようだ。

 安衛法では、健康診断の実施義務(66条1~3項)を定め、違反した場合には50万円以下の罰金に処す。問題はこれから。健診結果の労働者への通知を怠る(66条の6)場合も罰金の対象となるが、逆に個々で受診する場合には、労働者から事業者がその結果を報告してもらわないと、結果の記録(66条の3、5年間保存)ができないし、異常が認められる場合には実施しなければならない、医師・歯科医師からの意見聴取(66条の4)、それに基づく保健指導(66条の7)および面接指導(66条の8)をすることができないことになる。さらには医師等の意見を十分勘案し、必要があると認められるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置(66条の9)も不可能となる。

 健診結果に基づく事業者が講ずべき措置に関する指針では、産業構造の変化によって脳・心臓疾患等につながる所見が5割近くある、と改正動機で謳っている。報告収集を怠ると安衛法による刑事罰だけでなく、安全配慮義務不履行による民事訴訟の要因が山積する状態になってしまう。

 雇入れ時の健診、定期健診の時節だけに心を新たに臨んでほしいところである。

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掲載 : 労働新聞 平成26年4月7日第2963号2面

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