【主張】ブーム化する自転車通勤の陥穽

2012.04.16 【社説】
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 自転車通勤の高まりを背景に、紳士服大手のAOKI、アパレル大手のオンワード樫山、そして日本橋三越本店が「自転車通勤用スーツ」の発売を開始した。東日本大震災による帰宅難民の影響が背景にあるようだ。その一方で、自転車事故が深刻さを増し、警察庁では、昨年10月以降から、道路交通法にいう「軽車両」という基本的な考えに立ち、取締りの強化に乗り出している。例えば、黙認されていた3メートル以上の歩道でも交通規制を行うという。

 そんな折、3月には無灯火の自転車を職務尋問しようとパトカーから降りた警察官が後ろから来た自動車にはねられて殉職するという悲惨な事故が発生した。昨年11月、大阪地裁は車道を通行中の自転車運転者に対し、重過失致死罪を適用して禁錮2年の実刑判決を行っている。この事故で死者2人が出ているが、酔っ払い運転の自転車を避けようとしたワゴン車がタンクローリーの前に割り込んだため急ハンドルを切ったタンク車が歩道の2人を死亡させたというもの。平成22年には自転車が歩行者をはねる事故が全国で2760件にも及んだため、先の警察庁交通局長の通達となったわけだ。商魂たくましく「自転車通勤スーツ」の発売など呑気なことをいっている場合ではない。

 ブレーキのない競技用自転車(ピスト)を道路で運転した場合には、道交法違反(制動装置不良等)で5万円以下の罰金、同じく同額の罰金に処せられるのは、無灯火、携帯電話の使用、カサ差し運転などがあり、信号無視・一時不停止は3月以下の懲役または5万円以下の罰金になる。並進や2人乗りでさえ2万円以下の罰金である。酒酔い運転に至っては、5年以下の懲役または100万円以下の罰金。加えて警視庁が調べた加害事故例によると、100%過失とみなされ、民事賠償額は死亡(約8000万円)以外でも6000万円、5000万円に上り、一生塗炭の苦しみを味わう。警察庁は、これまで見逃してきた軽度の違反行為についても摘発していく方針。自転車通勤に踏み切る前に、あなたも例外ではないと覚悟しておこう。

平成24年4月16日第2869号2面 掲載

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