【ひのみやぐら】大雨時で無理に作業は禁物

2023.06.12 【ひのみやぐら】
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 梅雨が明けると本格的な夏がやってくる。この季節、熱中症とともに気をつけなければならないのが大雨や豪雨だ。特に屋外産業である建設業にとっては、宿命というべき問題であろう。

 大雨や豪雨といってもさまざまなタイプがあり、急に冷たい風と黒い雨雲とともにやってくるゲリラ豪雨や、いつまでも同じ地点に留まって大洪水を引き起こす線状降水帯などがある。さらに近年は台風も強力になってきた。首都圏在住の人にとって2019年に発生した台風19号の脅威は記憶に新しいところだ。

 建設業では、工事内容や周辺環境から考えられるリスクを想定し、緊急時に備えることが重要になる。突然の大雨や強風が吹いても緊急資材の調達や連絡体制の整備、作業中止の基準を明確にしておく。リスクの高い河川や下水道の管内作業では、現場上流部の気象情報の収集、地下やピット内作業では雨水流入防止対策など場所を考慮した安全対策を講じておきたい。

 安衛法では悪天候による作業の中止基準が定められているが、いざ判断するとなると難しいものだ。近年の気象予報は正確性が高まり、スマートフォンの画面で簡単に雨雲の動きを逐一知ることができるようになったが、やはり相手は自然。台風のように上陸まで時間があるならまだしも、ゲリラ豪雨のような局地的大雨は、直前までどのような状態で降るのか予想が難しい。

 建設現場での作業は関係者同士の綿密な打ち合わせや周辺住民などの協力によって成り立っている。作業中止となると、これに費やした労力が無駄になるような感覚もあるし、何より工期に影響する。工事を中止したとしても、大雨や強風にも見舞われず「空振り」の可能性があると考えると、さらに判断が苦しい。

 施工を管理する者にとって、作業中止の判断は苦渋そのものといえるが、やはり安全面を考えると、無理は禁物だ。状況を冷静に見極めて、恐れることなく中止の決断をくださなければならない。

 自然災害によって多くの労働災害が起きていることや強風で移動式クレーンが倒れる事故が毎年のように発生している。悲惨な事例を忘れることなく。

2023年6月15日第2428号 掲載

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