【主張】目離せぬ1%上積み要求

2022.11.17 【主張】
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 積極的に1%程度の上積み要求に取り組むとの意気込みに、まずは敬意を表したい。繊維、流通、サービスなど多種多様な産業・業種の労働組合で組織するUAゼンセン(松浦昭彦会長)は11月7日、賃上げ要求方針などを議論する政策フォーラムを開き、賃金体系維持分を含めて6%程度をめざすとする方針の「素案」を提起した。連合が5%程度との方針を固めつつあるなか、これを1ポイント上回る要求基準を掲げようとしている。

 政策フォーラムの冒頭で壇上に登った松浦会長は、まず連合三役の1人として参画した連合での議論の経過を報告したのち、素案の趣旨を説明した。多様な産業・業種を含むUAゼンセンの賃金水準について、「さまざまな社会的な水準、いろんな産業の賃金水準と比較したときに、やはり低位にある部門、部会、業種が多いと言わざるを得ない。組合員のみなさんが、相対的に低い賃金水準で働いている」と語り、上積みを図る必要性を訴えている。

 実際の素案での書きぶりはというと、賃金水準が不明な組合などに対する要求基準として、賃金体系維持分に加えて「3%以上」、あるいは賃金体系維持分を含めて「5%以上」などとしたうえで、「積極的に1%程度の上積み要求に取り組む」と明記している。一方でミニマム水準(高卒35歳24万円)を超えている組合に対しては、今回新たに「実質賃金の向上」という趣旨を踏まえて要求をつくることを求めた。連合のスタンスを十分に踏まえつつも、プラスαをめざす果敢な姿勢を明らかにしている。

 素案の趣旨説明に続いて松浦会長は、「なんとかして価格を1%でも2%でも転嫁をするという努力をしていただくということは、労使間で必要なこと」と強調した。中期的に物価が上がり、賃金が上がる経済をつくっていくため、生産性向上に向けて企業が打つ戦略に対し、労働組合としてどう応えるのか、との課題意識も明らかにしている。多様な業種・雇用形態で働く185万人を抱える産別の動向は、今後も立場の違いを問わず見逃せまい。

令和4年11月21日第3377号2面 掲載

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