【助成金の解説】令和4年度大幅改正!キャリアアップ助成金正社員化コース/岡 佳伸

2022.04.23 【助成金の解説】
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 「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。「正社員化コース」は正社員以外で雇用されている従業員を正社員に転換(または採用)することによって、不安定雇用を解消することを目的しています。

 例えば、有期契約社員を正社員に転換することで57万円助成されます(詳しい流れや概要、支給額は後述します)。

 キャリアアップ助成金正社員化コースは多くの事業主が活用されて来ましたが、その間に同一労働同一賃金を進める法改正もあり目的が果たされて来たと言えます。令和4年度に大幅改正されました。改正点を詳細解説します。

令和4年度改正点

① 令和4年4月1日転換から有期→無期転換コースが廃止されました。これにより正社員(正規雇用労働者)に転換しない限り支給されないことになりました。正社員転換後派遣社員として就労している場合は無期転換と扱われますので、派遣会社では活用が困難になりました。
② 令和4年10月1日以降に正社員転換等を行う場合は、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限ることとされました。よって、賞与も退職金も支給していない会社は対象外になります。
③ 令和4年10月1日以降に転換等する場合は、転換後に試用期間が設けられている場合、正社員待遇の適用の有無に関わらず、正規雇用労働者に転換等したものとは見なされません。就業規則に「正社員採用後試用期間を3か月設ける」等の規定がある場合は助成金の対象外になる可能性があります。
④ 令和4年10月1日以降、転換対象となる有期雇用労働者等については、賃金の額または計算方法が「正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6カ月以上受けて雇用している有期または無期雇用労働者に変更になります。例えば契約社員と正規雇用労働者とで異なる賃金規定(基本給の多寡や昇給幅の違い、賞与、諸手当の違い)などが適用される必要があります。
⑤ 令和4年10月1日以降適用される雇用区分の就業規則等において契約期間に係る規定がない場合は、転換前の雇用形態を無期雇用労働者としてとりあつかわれます。

受給のポイント

① 原則6カ月以上勤務している有期契約社員等又は派遣社員(派遣先として受け入れている者)を正社員転換後に、6カ月間雇用が定着した後に支給申請することができます。
② 転換の際には試験(面接試験又は筆記試験、両方の併用等)等で選考する必要があり、その転換に関する規程を就業規則等で定める必要があります。
③ あらかじめ、正社員で求人した者、正社員転換が予定されている者は対象外です。
④ 支給申請は正社員転換後から6カ月間に係る給与が支給されてから2カ月以内に申請することになります。支給申請日までに退職している者は対象外ですが、本人の自己都合又は懲戒解雇等で退職している場合は支給申請出来ます。
⑤ 転換後6カ月間の賃金を、転換前6カ月間の賃金より3%以上増額させている必要があります。昇給の場合は固定的な賃金(基本給又は就業規則等で規定されている諸手当)により増額しなければなりません。
⑥ 当該転換日の前日から起算して6カ月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇等事業主の都合(退職勧奨を含む)により離職させた事業主は対象になりません。
⑦ 有期雇用労働者等から正規雇用労働者に転換または直接雇用される場合、当該転換日または直接雇用日の前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所または資本的・経済的・組織的関連性からみて密接な関係の事業主において正規雇用労働者として雇用されたことがある者、請負若しくは委任の関係にあった者または取締役等役員であったものは対象外となります。契約社員雇用する前にフリーランス(請負等)で働いていた人を対象にすることは出来ません。
⑧ 特定求職者雇用開発助成金等他の常用雇用を目的とする助成金の対象になった者については、キャリアアップ助成金の対象とすることは出来ますが、支給申請区分として無期→正規の区分となります。
⑩ 社会保険加入の条件を満たす場合は転換後、社会保険加入して無ければ対象者には出来ません。
⑩ 全てのキャリアアップ助成金に共通しますが、事前に「キャリアアップ計画」を作成して労働局に届出る必要があります。

お勧めポイント

 当初の有期契約の期間で見極めを行い、正社員登用を図るという面では、慎重な採用とその後の定着という流れを作ることが出来ます。ただし、非常に多く申請されている助成金ですが令和4年度の改正により条件を満たすのが難しくなったと言えます。多くの会社で就業規則等の見直しが必要になります。

相談先

各労働局・ハローワーク

就業規則参考条文

正社員登用規定
第00条(正社員、無期契約雇用社員登用)
 勤続6カ月以上の非正規社員の者(有期契約雇用社員及び無期契約雇用社員等)又は有期実習型訓練修了者で本人の希望する者、派遣社員等は、社員就業規則第00条の規定に基づき正規雇用、無期契約雇用に転換させる又は採用することがある。
2 転換時期は毎月1日又は随時とする。
3 代表又は取締役、管理職等の推薦がある者に対し、面接試験を実施し、合格した場合について転換することとする。

令和4年10月1日以降転換にかかる就業規則参考条文

(昇給規定)
(例)昇給は勤務成績その他が良好な労働者について、毎年〇月〇日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は行わないことがある。
(例)毎年1回、各等級の役割遂行度を評価し、基本給の増額又は減額改定を行う。
(賞与規定)
(例)賞与は原則として毎年6月と12月の給与支給日に在籍したものに支給する。支給額は人事評価および会社の業績に基づき個別に決定する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は支給時期を延期又は支給しないことがある。
(契約社員と異なる区分を表す例)
(例)契約社員はその契約期間内は昇給を行わない。
(例)契約社員には賞与を支給しない。
(例)契約社員の通勤手当は月額1万円を上限とする。正社員については上限を設けない。
(契約社員の契約期間についての記載例)
(例)有期契約労働者の雇用期間は1回の契約期間につき3年以下とする。個々の労働者の雇用契約期間は労働条件通知書等で別途定める。

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