【助成金の解説】キャリアアップ助成金(賃金規程改定等コース)/岡 佳伸

2023.09.30 【助成金の解説】
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非正規社員の賃金引上げを支援

 キャリアアップ助成金賃金規程等改定コースとは、有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用した事業主に対して助成する制度です。この制度は、非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために厚生労働省が実施しています。申請には、キャリアアップ計画の作成・提出やキャリアアップ管理者の配置などの要件があります。今後、最低賃金の引き上げ対応を含めた賃上げに活用できる助成金です。

支給額

厚労省リーフレットより

※上記において、職務評価を実施し、その結果を踏まえて賃金規定等を増額改定した場合1事業所当たり20万円(15万円)(1事業所当たり1回限り)

受給のポイント

① 令和4年度から改正され、事業所単位の助成額から一人当たりの助成額に変更されました。全ての有期雇用労働者等の増額改定、一部の有期雇用労働者の増額改定でも助成額に変更はありません。
② 一部の有期雇用労働者の増額改定を行う場合は合理的な区分に基づいて対象労働者を選定する必要があります。合理的な区分としては下記が上げられます。
・雇用区分(正社員、パート、アルバイト等)に応じて賃金規定等が存在する場合であって、当該一部の雇用区分に適用される賃金規定等のみ増額改定する場合
・雇用保険の非該当承認施設において独立して賃金規定等が存在する場合であって、当該賃金規定等のみ増額改定する場合
・職種ごとに業務レベルによる区分(初級、中級、上級等)が存在する場合であって、当該一部の業務レベルの賃金規定等を増額改定する場合
・最低賃金の改定に伴い、最低賃金を下回る者についてのみ賃金規定等を増額した場合、ただし、各都道府県の新最低賃金の公示日以降、発効日の前日までに賃金規定等の増額改定を行う必要があります。
③ 年齢のみの理由をもって対象者を限定することは合理的な理由と認められませんが、定年後の再雇用者を除く等、雇用形態や職種別などの合理的な理由によって対象者を限定している場合には、支給対象となります。
④ 職務評価を実施してその評価結果を踏まえて賃金規定等を増額改定した場合にも加算があります。
⑤ 最低賃金が上がるタイミングで増額改定を行っても問題ありません。ただし、最低賃金の発行日前までに行う必要があります。
⑥ 業務改善助成金とは併給調整がかかります。同じ労働者を対象労働者に選定して実施することは出来ません。例えばキャリアアップ助成金賃金規程改定等コースは雇用保険被保険者を対象として、業務改善助成金は雇用保険未加入者のみを対象にする等対象被保険者を分ける場合は併給対象になる可能性があります。
⑦ 賃金規程のテーブルを作る際に、下限額を決めて幅を持たせた額とすることは問題ありません。(例 1等級1100円~1300円迄等)ただし、上限額だけを決めたテーブルとすることは出来ません。
⑧ 今まで賃金テーブルがない会社が新しく賃金テーブルを作成する場合も対象になり得ます。増額前の賃金額は賃金台帳等で確認されます。

おすすめポイント

 複雑な仕組みの助成金であり、賃金規定を増額改定することによって総人件費の上昇は避けられません。ただし、最低賃金が大幅に上がるタイミング等で実施するのは面白いかも知れません。今後の賃上げの流れの中で有期雇用労働者全体のベースアップを図るのであれば検討したい助成金です。

相談策

各労働局、ハロワーク

申請までの流れ

厚労省リーフレットより


筆者:岡 佳伸(特定社会保険労務士 社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表)

大手人材派遣会社などで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。
日経新聞、女性セブン等に取材記事掲載及びNHKあさイチ出演(2020年12月21日)、キャリアコンサルタント

【webサイトはこちら】
https://oka-sr.jp

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