助成金の大改革に期待/社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表 岩本 浩一

2017.02.05 【社労士プラザ】
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 平成28年度は介護支援取組助成金が話題になった。この助成金は仕事と介護を両立できる環境を整えた会社に対して60万円を支給する助成金だった。

 具体的な取組みとしては、介護休業規程の作成、介護の取組みに関する周知、介護に関するアンケートの作成、そして介護に関する研修を受けることが必要だったが、実際には研修を受けなかったり、アンケートを偽ったりと、実態として取組みをしていないような会社が虚偽の申請を行うことが多かった。

 また介護休業をした社員が実際にいなくても取組みをしただけで申請することができたため、予想以上の申請件数で予算が早くもいっぱいになり、2カ月半で抜本的な見直しが求められ、6月23日には助成金が打ち切られることになった。そのことがネット上などでニュースになり、悪い意味で助成金が話題になった。

 平成29年度は今までにない助成金の大改正が行われることから、さらに話題になるだろう。現在厚生労働省の助成金は36種類あり、さらに使い道により71のメニューに分かれている。助成金の中には目的が似たようなものがあったり利用が少なかったりするものがあるため、16に削減することになった。助成金があることが分かっている会社でも種類が多すぎてどの助成金が自社に合致しているかが分からなかったため、利用率向上のための改正は大いに良いことだといえる。

 さらに改革の大きな柱として、生産性の要件が加わる。

 生産性の計算方法としては営業利益、人件費、減価償却費、動産・不動産賃貸料および租税公課を合計した額を雇用保険の被保険者数で除して計算する。直近年度の一人当たりの生産性が3年前と比べて6%以上上がっていれば助成金が増額される。反対に生産性が下がっている場合には助成金が減額される。

 全部の助成金にこの生産性の要件が加わるわけではないが、本当に利益を出しているいわゆる優良企業に対して助成金の額がアップされることは良い改正である。

 助成金の大改革は、ここ数年では初めてのことである。助成金は返済不要で使い道自由のお金だが、それ故に助成金欲しさに不正受給に手を染める経営者が後を絶たない。

 本当に助成金を使って会社経営に役立てようとする会社にこそ手にしていただきたい。この改革が吉と出るか凶と出るかはまだ分からないが、良い改正であることを祈りたい。

社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表 岩本 浩一【愛媛】

【公式Webサイトはこちら】
http://www.office-iwamoto.jp/

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    平成29年1月30日第3098号10面 掲載

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