【主張】衝撃大きい36協定強化案

2016.07.11 【社説】
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 政府による長時間労働是正対策が本格化している。今年度から月の時間外労働が80時間を超える企業に対する行政指導の強化を図ったが、これ以上の衝撃をもたらしたのが時間外・休日労働協定(36協定)による時間外上限規制の強化を検討しようとする動きである。

 さきごろ閣議決定した「1億総活躍プラン」で打ち出されたもので、「いわゆる36協定における時間外労働規制のあり方について再検討をめざす」としている。「欧州諸国と遜色ない水準」を目標とし、2018年度までに「再検討」する模様だ。

 わが国の労働時間法制では、36協定を締結して労働基準監督署に届け出れば、時間外・休日労働が適法化される。労働基準法に基づく時間外労働の限度基準が設けられているものの、立法の経緯から考えて労働契約に対する強行的効力は有しないとするのが通説である。つまり限度基準は、時間外労働の絶対的な上限規制ではなく、あくまで行政指導の根拠となっているに過ぎない。

 1億総活躍プランでは、具体的にどのような方法で規制強化していくかは明確にされていない。いわゆる「エスケープ条項」の見直しの可能性もある。しかし、最終的に時間外労働の限度基準を法定化し、労働契約や労使協定に対する強行的効力を持たせる方向を想定すれば、わが国労働時間法制の大きな転換とみていい。

 目標としている欧州先進諸国の1人当たり平均の年間総実労働時間は、ドイツが1300時間台、フランスとオランダは1400時間台などとなっている。わが国は、アメリカと同様の1700時間台である。週49時間以上働く労働者割合は、ドイツとフランスの10%に対し、わが国は21%である。

 欧州水準との間には大きな隔たりがあり、時間外労働規制を強化して一気にミゾを埋めようとしても不可能といえよう。わが国企業の競争力減退、産業の疲弊につながったら元も子もない。規制強化をめざすとしても、生産性向上と歩調を合わせ、長期的視点で取り組む必要がある。

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平成28年7月11日第3072号2面 掲載

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