【主張】最大の賃上げで応えよう

2016.02.08 【社説】

  経団連の榊原定征会長は、年初に開催した祝賀パーティーで、「賃上げが実現するかどうかが消費の拡大、ひいては経済の好循環の鍵になる。力を入れてやっていきたい」と意欲を示した。

 日本経済に立ちはだかる最大の壁となるのは、平成29年4月に予定している消費税の再引上げである。今回は延期せず必ず実行すると明言している以上、今年の賃上げ結果が再引上げへの布石となる。各企業・経営者は、経済全体の行方を左右する重要な賃上げ交渉であることを肝に銘じ、経団連の提言を真摯に受け止めてもらいたい。

 本紙の賃金解説者による今年の賃上げ予想では、2%台後半に達するかどうかが焦点となっている(1月11日号1面参照)。昨年の賃上げは、厚生労働省の集計で2.38%であり、これをさらに上回るという見方だ。企業の内部留保が史上最高の350兆円を超えるなど、全体としては昨年を上回る賃上げ環境が整っていることは間違いない。少なくても2%台後半の賃上げ実現が不可欠と考えたい。

 今年はさらに7月に参議院選挙がある。衆参同時との見方もあり、その結果によっては日本社会の行方を左右しかねない。仮に想定された大幅賃上げが実現せず、結果として日本経済が腰折れ状態となることがあれば、公約となっている消費税の再引上げに困難が伴うばかりでなく、政権運営自体が危機に陥る可能性がある。

 バブル崩壊後の長期にわたる迷走状態から抜け出せたのは、現政権の覚悟を決めた大胆な各種政策によるところが大きいはずである。政権運営を盤石なものとするには、大幅賃上げが条件である。

 賃上げは企業経営者の決断に任されるものであり、外部の掛け声が大きくても経営戦略に叶わなければ実現できない。しかし、今年に限っては事情が異なる。大幅賃上げが政権運営と日本経済を支え、それが各企業の経営を支えるという大局的な見方が必要である。経団連の経営労働政策特別委員会報告も前年以上の賃上げを迫った。支払能力が許す範囲での最大限の努力で応えるべきではないか。

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掲載 : 労働新聞 平成28年2月8日第3052号2面

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