コスト意識からの脱却を/アクティベーションコンサルティング 代表 原 聡美

2015.09.28 【社労士プラザ】

アクティベーションコンサルティング 代表
原 聡美 氏

 今年も新制度の始まりが近づいてきた。12月1日に施行される「ストレスチェック制度」である。また、来年1月にはマイナンバー制度が控えており、人事総務担当者は年末にかけてこれらビッグイベントに向けた対応を余儀なくされる。

 これらの実施に向けては、法律で定められた要件、基準等を加味して、自社での運用方法を模索していることだろう。自社のマンパワーでカバーできなければシステムの導入や専門家などの「外部」の力を借りることも考えられる。

 今回の法改正に限らず、制度が複雑であったり、従業員規模が大きくなると、対応に投下する時間と費用が増えていくことになる。そうなると、人材面と資金面に限りのある中小企業は、「最低限」の対応を考え始めることになるだろう。経営的にはコストは極力抑えるべきであり、正しい判断だとも思う。

 だが、一つ問いかけたい。これらは本当にコストでしかないのか、と。直接的には利益を生み出さなくても、間接的に利益に結び付くものにならないか。

 「法律で決まったからやる」というスタンスで実施するのか、または、好機と捉え、目的意識を持って実施するのか。両者では従業員に与える印象は大きく異なる。せっかく、貴重な時間と費用をかけるのであれば、その効果を狙った運用をめざすべきである。

 目的意識、つまり「なぜ、何のために実施するのか」ということを明確にすることである。たとえば、「わが社にとって、何はなくとも従業員一人ひとりが大切であり、その従業員の心の健康を把握し、適切な人員配置等に役立てるためにストレスチェックを実施する」というような目的を掲げ、企業トップが意思表示をする。こうすることで、会社の取組みに対する真剣度を伝えることができ、従業員の協力を得ることができるだろう。

 いかなる制度であっても、目的が従業員にとってメリットがあったり、ポジティブに考えられるものであればあるほど、制度は活用され浸透していく。そして、従業員満足度の向上、人材定着、組織活性化をももたらす。「法令順守=コスト」という意識から、未来の組織づくりへの「投資」にシフトチェンジをして、対応を協議・検討していってもらいたい。

アクティベーションコンサルティング 代表 原 聡美【東京】

【公式webサイトはこちら】
http://activation-sr.com

ジャンル:
掲載 : 労働新聞 平成27年9月28日第3034号10面

あわせて読みたい

ページトップ