勝たずに負けない労務管理/宮子労務管理事務所 代表 宮子 智子

2014.09.08 【社労士プラザ】

宮子労務管理事務所 代表
宮子 智子 氏

 開業して18年が経つ。開業当初はいわゆる手続業務がメーンだったが、労務管理に特化してから15年超になった。その中で最初から心がけていることがある。

 それは「勝たずに負けない折り合いの付け方」である。このスタンスは今になっては大きな財産である。勝ち負けがないから争いにならない。手間もお金もかからない。良い社員が辞めることがない。社内の空気も悪くならない。当事務所がほぼ顧問先などからの紹介だけで職員を雇用できるまでに成長できたのは、このスタンスによるところが大きいと思う。紹介先の多くがオーナー企業であり、首都圏以外の顧問先は地元の老舗が多いのも「もめずに収めたい」という意図からなのだと思う。

 トラブルがあると「会社が勝った、負けた」という物騒な話になることが多いが、裁判ならともかく会社の中で勝ち負けが付いたらその先は「異動・退職」になってしまう。または、お互いに気まずいまま勤務することになる。それでは本来のスキルも発揮できないし、会社も周りも腫れ物に触るかのようになる。

 確かにトラブルになるのだから、双方が納得してwinwinになるケースは多くはない。過去の相談事案をみても、満面の笑顔でまとまったケースは非常に少ない。一方で、私が手がけた案件で訴訟になったり、泥沼になった事案もほとんどないのである。冒頭の「勝たずに負けない折り合い」で大人の解決をしていることが大きいと思う。

 そのためには、日頃から事業主との面談を通して「社長の方向性を言語化し、社員に伝える仕組み」と「トラブルの芽をみつける仕組み」を作る必要がある。具体的には、公正なルール、特定の誰かだけが損をしないルール、誰がやっても同じになるルールを作ることである。それを分かりやすい形で伝えることで、社内共有ができれば「誤解からのトラブル」はなくなる。準備と筋の通ったルール、そして共有である。

 増加傾向にある精神疾患の対応においても、疾患者、上司・担当者、会社の誰もが傷つかない「折り合い」が重要だと思われる。それには、関係間の信頼関係と、会社を居心地の良い状態にしたいという関係者の思いが必要なのである。

株式会社LM&C 代表取締役 宮子 智子【東京】

【公式webサイトはこちら】
http://www.lm-c.com/

※タイトルの社名は連載時のものです。

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掲載 : 労働新聞 平成26年9月8日第2984号10面

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