【主張】心強い政労使の高賃上げ

2015.04.13 【社説】

 バブル崩壊から始まった低賃上げとデフレスパイラルの長い長いトンネルをようやく抜け出せそうだ。

 15年春季労使交渉において、大手企業の高額回答・妥結が相次ぎ、金属労協のまとめによるとベース・アップ分の平均で2800円に達したという(本紙4月6日号1面既報)。高額といわれた前年をさらに1300円ほど上回っている。

 相原康伸・金属労協議長は、15労使交渉を歴史的な出来事と位置付けて称えている。つまり、高度経済成長を支えた高賃上げ期を第1フェーズとし、それ以後の経済整合性を重視した抑制的賃上げ期を第2フェーズ、昨年からスタートしたデフレ脱却と経済好循環をめざした高賃上げ期を第3フェーズとし、上手く波に乗れたという。

 本紙も15労使交渉の推移を現時点でみる限り、第2フェーズの最後の関門を抜け出たとの印象を得ている。日本経済が新たな局面に入ったという意味で、画期的、歴史的と捉えても大袈裟ではないかもしれない。

 そして、この歴史的出来事に「勝敗」がないことにも大きな意味がある。春闘の歴史を振り返ると、常に付きまとっていたのが労使の勝敗表だった。賃上げ結果をみて、労使のどちらが勝ったかが、世間の話題をとり、対立構図として捉えられた。

 昨年から開始した政府主導の政労使会議では、賃金の上昇、消費の拡大という好循環を継続的なものとし、デフレ脱却につなげるための協議が何度も開かれた。15労使交渉は、この3者協議を経て、合意形成された側面が大きい。政労使の誰が勝ったということではない。

 「官製春闘」などと評し、一部で批判的な見方をするマスコミもあるが、現代経済はすでにあらゆる場面で国家的統制が図られているのが実態である。ことさら賃上げに対してのみ「官製」批判しても意味はない。

 それより、日本経済が危機的状態に直面した際には、今後も政労使が同じテーブルに着き、同じ目標に向かって結果を出せることが証明されたことは心強い。

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掲載 : 労働新聞 平成27年4月13日第3012号2面

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