【ひのみやぐら】多店舗展開企業にメス

2019.06.10 【社説】
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 24時間営業の是非が話題になったコンビニをはじめ、スーパーやホームセンター、ファミレス、回転寿司、居酒屋の多くは「多店舗展開」が特徴だ。企業本部が直営あるいはフランチャイズの形で複数の店舗を各地で運営するケースが多く、「どこへ行っても同じサービスが受けられるなんて!」と驚く訪日外国人観光客が多いとも聞く。

 翻って我われ日本人の目には、日常生活に溶け込むように、全国津々浦々、あって当たり前の存在として映る。ただ、それら店舗や施設内で労働災害が多いという現実をいったいどれほどの人々が理解しているだろうか。

 過日発表された平成30年の労災発生状況でも、休業4日以上の死傷者数は3年連続で増えており、なかでも社会福祉施設や小売業の増加率が際立って高い。労働力人口の減少で高齢者や職業経験の未熟なアルバイトやパートがそれらの現場で増えていることが大きな要因で、建設業や製造業のような大きな災害にはなりにくいことも現場が危機意識を持ちにくいゆえんだ。

 ここにメスを入れるべく、国が最近具体的に動き出したようだ。職場の危険を見える化しようと、上記3つの業態向けに「実践」編を含む関連マニュアルを公表している。

 詳細は次号に譲るが、安衛法令が義務を課す事業場=各店舗ではなく、“本社・本部”に全店舗を視野に入れた対策を促す点が大きなポイント。各店舗で働く従業員の就業形態が正社員からアルバイトまで多様化するなか、店舗間の対策がばらけないようにすることを狙う。

 「実践」の名に恥じない工夫もみられ、店舗や施設で起きがちな被災ケースをイラスト化し、それらを同省のHPからダウンロードできる仕組みを構築した。店舗での作業手順を本社・本部で作る際、自由にそのイラストを使ってもらいながら、全店舗の作業手順に安全衛生が一体的に組み込まれることを期待している。

 各地に散在する店舗・施設間で被災イメージを合わせるのにも役立ちそうだが、それを生かすも殺すも現地キーマンの存在かもしれない。一足飛びに法改正とはいかなくとも、いずれ一歩踏み込んだ対策が必要になろう。

2019年6月15日第2332号 掲載

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