【主張】定年年齢引上げの兆しか

2015.06.01 【社説】

 高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施した、経営者・管理職1600人余りを対象とする高齢者雇用に関する調査によると、今後、定年年齢の引上げを考えている割合が43%に達していることが分かった(本紙5月18日付1面既報)。

 わが国において、広く長く続いてきた60歳定年制が、いよいよ見直される時期に差し掛かっている。企業としては、高齢者の戦力化と同時に、定年年齢の引上げに備える必要がある。

 厚生労働省の平成26年調査をみると、一律定年制を定めている企業の81%が、その年齢を「60歳」としており、未だ圧倒的な割合を占めている。10年の高年齢者雇用安定法改正により、60歳定年制が義務化され定着してきた。

 その後、16年に65歳までの雇用確保措置が義務化され、定年年齢の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかを実施しなければならなくなった。この時以降、大部分の企業は「継続雇用制度の導入」を選択し、高齢者の一律雇用を強いられる定年年齢の引上げを回避してきたのが現実である。

 同機構の調査結果は、この流れを乗り越え、近い将来、企業の多くが定年年齢引上げに舵を切ろうとしている証左と捉えることができる。

 背景には、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢の段階的引上げがある。約10年後には段階的引上げが終了し、一律65歳支給に移行する。同時に、継続雇用制度の対象者を限定できる制度の利用期間(経過措置)も終了することになる。

 定年年齢引上げの条件としては、まず高齢者活用に対する方針転換が不可欠となってこよう。高齢者雇用を企業の社会的責任として考えるのではなく、真に戦力化する方針で臨むことが不可欠だ。賃金は、職務や成果に対応したものとし、しっかり人事評価を行う。並行して、若年者雇用の拡大も決して忘れてはいけない。

 現状で65歳定年制を導入している企業割合は15%である。そう遠くない時期に、これまでの「常識」が変わっていくかもしれない。

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掲載 : 労働新聞 平成27年6月1日第3019号2面

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