【主張】原発現場の拙速には強い指導を

2014.02.10 【社説】

 東日本大震災の復興予算が使い切れていない、ということで地元の非難が強い。結果的に久方振りに人気与党となった自公所属ないし推薦の市長が相次いで落選するという異常な展開になっている。

 予算が未消化の最大要因は労働力不足にある。ひと頃騒がれた、きけん、きつい、きたないの3K職場の再来だけに、賃金の大盤振舞いも、あまり効果が無いという観測が出ている。とりわけ東電福島第一原発では、労働力不足に加え、稼働している作業員の熟練度に疑問が持たれているが、未曾有の放射能関連事故だけに「熟練労働者」が存在することを期待するのは、楽観過ぎるという声もある。

 ともあれ、昨年10月11日付けの東京新聞は、誰もが恐れている実態を暴露した。その一端を紹介する。

 「福島第一原発の作業員らは、労働基準法ぎりぎりの過酷な長時間労働を強いられている。作業員らの証言では、法定の10時間近くになると身に付けている線量計のアラームが鳴るため、途中で線量計を取り換え、違法な残業をしている事例もある」。

 労基法施行規則18条には、労働時間延長の制限業務を列挙しているが、その第3号には「ラジウム放射線、エックス線その他有害放射線にさらされる業務」が示されている。

 これは、法36条1項但し書「労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間延長は、1日について2時間を超えてはならない」を受けたもの。今回のような未曾有の放射能事故では、しばしば齟齬が生じているが、法32条の1日8時間基準すら、従事する者にとっては、「過酷な試練」というのが本音ではあるまいか。それを2時間延長し、さらに法違反を繰り返しては、大きな声ではいえないが、3K職場の比どころではあるまい。ただ、作業は大幅に遅れ、国際的な非難も浴びるなど雑音が多いだけに、法定基準の特例は無理だろう。しかしながら、「誰もが恐れている脱法行為」は見逃すことはできない。過酷な作業環境のなか、働いている方々の安穏を祈るとともに、報道によるような「作業指示」には、強い指導で臨んでほしい。

掲載 : 労働新聞 平成26年2月10日第2956号2面

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