- 2025.07.31 【書評】
-
【書方箋 この本、効キマス】第119回 『海風(かいふう)』 今野 敏 著/吉田 修
現代に重なる外交折衝 本書は、幕末の外交現場を舞台に、列強の圧力や国内の攘夷思想、幕府内の思惑が交錯するなかで奮闘する幕臣たちの姿を描いた歴史小説である。永井尚志(なおゆき)や岩瀬忠震(ただなり)といった外交テクノクラートたちが、冷静な観察と知略をもって難局に挑む姿は緊張感に満ち、読む者を惹きつける。 武士としての矜持と、国家の命運を……[続きを読む]
