『書方箋 この本、効キマス』の労働関連コラム

2025.07.17 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第117回 『ババヤガの夜』 王谷 晶 著/大矢 博子 NEW

ヤクザ小説の女性像覆す  今月4日、日本文壇に嬉しいニュースが届いた。世界最高峰のミステリー文学賞と言われるイギリスのダガー賞・翻訳部門を、王谷晶『ババヤガの夜』が受賞したのだ。  前年1年間にイギリスで英語翻訳出版されたミステリー小説の中から最も優れた作品に贈られる賞である。日本人作家が受賞するのは史上初、アジアでもふたりめという快挙だ……[続きを読む]

2025.07.10 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第116回 『メンターになる人、老害になる人。』前田 康二郎 著/内田 賢

相手への敬意が分かれ道  大手機械メーカーの総務部長を役職定年で退いたK氏は「部長でなくなったら、いろんな人間が相談に来るようになった」と話してくれた。ざっくばらんな方なので部長在任中もいつでも相談に乗ってくれた人であろうが、業務時間中に若いヒラ社員が課長を飛び越して、また、他部門の課長が直属の部長に断りなくK部長に相談に来るのは憚られた……[続きを読む]

2025.07.03 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第115回 『「モディ化」するインド』 湊 一樹 著/濱口 桂一郎

中国並みの情報統制進む  インドといえば、我われ日本人には偉大なガンディーが作った国…というイメージが強い。「ガンディーが助走をつけて殴るレベル」というネットスラングも、非暴力主義でインドの独立を果たしたガンディーの高潔さを前提としている。そのガンディーを暗殺した右翼結社の民族奉仕団(RSS)で頭角を現し、グジャラート州知事として「実績」……[続きを読む]

2025.06.26 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第114回 『我、演ず』 赤神 諒 著/大矢 博子

戦国生き抜く「負け上手」  人生も仕事も連戦連勝、であればさぞかし気持ちが良いだろうが、そんなことはあり得ない。頑張っても負けることはあるし、戦う前から負けが見えていることも少なくない。時には、敢えて負ける方が賢いというケースもある。  つまり問題は「負け方」なのだ。どんなふうに負けるかでその後が決まる。その鮮やかな負け方を見せてくれるの……[続きを読む]

2025.06.12 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第113回 『木戸芸者らん探偵帳』 仲野ワタリ 著/神楽坂 淳

声色を使い分けて捕物  本書は時代小説には珍しい「木戸芸者もの」である。木戸芸者は、一般にイメージされる芸者ではない。現代で言えば「声優」である。芝居小屋の木戸で、役者の声真似をしながら芝居の名シーンを再現して、呼込みをする仕事だ。さまざまな声色を使い分けるのが特徴の仕事である。  主人公のらんは、16歳でこの仕事に就く。花嫁修業か木戸芸……[続きを読む]

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。