『書方箋 この本、効キマス』の労働関連コラム

2024.07.25 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第75回 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 三宅 香帆 著/濱口 桂一郎 NEW

読書がノイズ化した社会  『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』というタイトルに、「読書史と労働史でその理由がわかる」というオビの文句を加えれば、これはもうドンピシャリ、『労働新聞』の書評コラムに取り上げないという選択肢はあり得まい。いや実は、著者の三宅香帆さんは一昨年、この書評コラムで毎月面白い本を紹介していた当人でもある(選書のまと……[続きを読む]

2024.07.18 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第74回 『トヨタの子』 吉川 英梨 著/大矢 博子

浮かび上がる苦悩と葛藤  実名を出した経済小説のジャンルがある。最も有名な作家は高杉良だろう。タイトルに企業名を掲げた『小説 日本興業銀行』、『落日の轍 小説・日産自動車』などのドキュメントノベルの他、実在の企業や人物の名前をそのまま使った小説を多く発表している。  事実が読みたければノンフィクションや伝記があるのになぜ小説にするのか。そ……[続きを読む]

2024.07.11 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第73回 『電車たちの「第二の人生」』 梅原 淳 著/内田 賢

人間の“再雇用”に似たり  地方の中小私鉄ホームに見覚えのある電車がたたずんでいることがある。かつて関東や関西の大手私鉄で走っていた電車だ。本書はこのように新天地で活躍することとなった電車たちのドラマである。  本書の帯の文章が面白い。「前略、みなさん、いかがお過ごしですか。今は働く場所こそ変わりましたが、元気に走り続けています。再会でき……[続きを読む]

2024.07.04 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第72回 『ウドウロク』 有働 由美子 著/影山 貴彦

硬軟混ぜつつ内心を表出  1991年に入局後、NHKアナウンサーとして27年の長きにわたって活躍した後にフリーに転身、2018年秋から今年の春まで日本テレビ系の看板番組『news zero』のメインキャスターとして活躍し、現在は俳優の松下洸平とともに、同じく日本テレビ系の音楽番組『with MUSIC』の司会を務めている有働由美子。彼女の……[続きを読む]

2024.06.27 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第71回 『仕事と人間(上・下)』 ヤン・ルカセン 著/濱口 桂一郎

「勤勉革命」の辿った道は  労働史といえば、産業革命以来のせいぜい200年余りを対象とするものがほとんどだが、本書は副題の通り「70万年のグローバル労働史」を上下巻900頁にわたって描き出す大著だ。ハラリやダイヤモンド、ピンカーらのグローバルヒストリーの労働版といったところだが、改めて人類の歴史は多種多様な労働の歴史だったと痛感する。  ……[続きを読む]

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