生き生き働ける会社づくりへ/社会保険労務士法人 エムケー人事コンサルティング 染川 憲一

2016.06.29 【社労士プラザ】
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 昨今のマスコミ市場では、ブラック企業について取り上げられることが多くなった。

 今年4月、厚生労働省が違法な長時間労働に対する監督指導を強化するため、「過重労働撲滅特別対策班」を設け、全国の労働局に「過重労働特別監督監理官」を1人ずつ配置したとの報道があった。同時に、労働基準監督署の立入調査基準となる残業時間は、過労死認定基準に合わせ、月100時間超から月80時間超に引き下げられたことも、我われ社会保険労務士の記憶に新しい。

 さらにたどれば、昨年5月から、違法な長時間労働などで年3回の是正勧告を受けた大企業の社名を、厚労省ホームページへ公表する対応が始まった。その具体的な基準は①社会的に影響力の大きい企業であること、②「違法な長時間労働」が「相当数の労働者」に認められる実態が「一定期間内に複数の事業場で繰り返されている」ことが基準となっている。

 しかし、行政指導によるブラック企業の定義というと、実にこの程度でそれ以上の定義は少ない。元々ブラック企業は、「企業が反社会的勢力団体とのつながりを持ち、労働基準法のみならず違法行為を繰り返す会社」を指していたが、昨今ではその大義が幅広く使われるようになった。

 ブラック企業について多くの情報が公開されているホームページや書籍では、次のような特徴を述べているものが多い。

 ①離職率が高い、②年中求人が出されている、③給与が相場基準よりも高い、④求人説明会等で「働き甲斐等」の精神論を説明、⑤面接の採用基準が低い。こうした一部の事実だけを取り上げ、このような状態が「ブラック企業」であるかのような情報を公開しているのも事実である。しかし、ブラック企業かどうかは、経営の現場に踏み込まないと分からないことの方が多い。我われ社会保険労務士は、労務管理という立場から安全配慮義務を意識して、①時間管理の徹底、②残業代未払いの阻止、③長時間勤務の抑制、④法定基準を下回る就業規則の不備対応等、経営者に対して毅然と指導をしていく国家資格の専門家である。

 それはブラック企業という言葉の定義に左右されることなく、法令順守を促進し社員が生き生きと働ける会社づくりの一端を担うことが責務といえよう。

社会保険労務士法人 エムケー人事コンサルティング 染川 憲一【東京】

【公式Webサイトはこちら】
http://mkjinji.jp

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    平成28年6月27日第3070号10面 掲載

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