「年齢の壁」を超える/福井社会保険労務士事務所 代表 福井 雅之

2024.02.25 【社労士プラザ】
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福井社会保険労務士事務所 代表 福井 雅之 氏

 私は現在、高齢・障害・求職者雇用支援機構(略称JEED)の委嘱を受けて、70歳雇用推進プランナーとして活動している。同プランナーは「企業の実情に即して、定年制度・継続雇用制度の提案および条件整備の取組みを支援する」(JEEDホームページより)という使命を担っている。

 高年齢者雇用は私の社会保険労務士活動の中でもとくに関心の高いテーマであり、日々研鑽を重ねてきた。悩みごとの解消に資する情報提供や助言、提案などの活動を感謝されることもあり、やりがいを感じている。

 日本の生産年齢人口は年々減り続けている。労働力の維持・確保において高年齢者の活用は重要だが、問題が徐々に顕在化してくることもあって、喫緊の課題として認識され難い。

 法律上は60歳定年、65歳までの雇用確保措置の実施が義務とされ、70歳までの就業機会の確保も努力義務となっている。希望すればほとんどが定年後継続雇用され、65歳までの就労は可能となっており、70歳まで就業できる企業の割合は年々増えている。

 高年齢者の処遇については同一労働同一賃金の観点から、またジョブ型雇用が喧伝される中で、年齢というファクターは今後小さくなっていくのではないかと考えている。

 制度面の充実は今後も進むと考えられるが、果たして高年齢者はその能力を遺憾なく発揮されているだろうか。

 日本の労働生産性の低さの一因に定年後の再雇用者の存在が挙げられることもある。私はそこに「年齢の壁」というものがあると考えている。「年齢の壁」とは、多くの企業で定年60歳、継続雇用上限が65歳であること。人生100年時代といわれながら、相変わらず60歳を区切り、ゴールと考える。そのような固定観念が抜きがたく、働く人の頭の中に限らず、経営者にもあるように感じる。

 ヒトの脳はその機能として、ゴールを意識すると脱力するとされている。会社としてまず取り組むべきは、より遠くにゴールを設定すること。具体的には70歳までの雇用をきちんと制度化する。エイジレスという考え方もあり得るが、ゴールがないと頑張れないという側面もあり、当面は70歳が妥当ではないだろうか。

 何歳を職業人生のゴールとするかは各人の自由であるが、会社としては働きたい人には70歳まで雇用することを明確にする。70歳をゴールと意識させることができれば、60歳や65歳は通過点になる。

 高年齢者雇用を効果的にするためには、まずはそのような意識を醸成することが求められている。

福井社会保険労務士事務所 代表 福井 雅之【福岡】

【公式webサイトはこちら】
http://www.fukui-siki.jp/

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令和6年2月26日第3438号10面 掲載

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